島忠をめぐる、DCMとニトリの買収合戦が勃発

 そして、最後の(3)のTOB合戦による価格引き上げです。これについてはドンピシャのタイミングですが、首都圏で家具・ホームセンターを展開する島忠(東1:8184)をめぐって、DCMホールディングス(東1:3050)と、ニトリホールディングス(東1:9843)がTOBを仕掛け合っているという事例が出てきました。

 2020年10月29日、ニトリはTOBによって島忠を完全子会社化すると発表しました。ただし、すでにDCMが島忠に対してTOBを実施している最中だったため、島忠をめぐってニトリとDCMがTOBで争う構図となりました。

 それに合わせて、TOBされる側の島忠の株価は以下のように推移しています。

■図1:島忠(東1:8184)の日足チャート(2020年10月30日前場終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 9月の大型連休前となる18日に、「DCMホールディングスが島忠に対してTOBの実施を検討している」と報道されたことを受け、2,800~2,900円で推移していた島忠の株価は、連休明けの23日にストップ高を見せ、3,500円台まで株価水準が引き上がりました。そして、10月2日にTOB価格が4,200円と決定したことで、翌5日からはこのTOB価格での推移がしばらく続きました。

 ところが、今度は「ニトリが島忠の買収を検討」というニュースが21日に報じられました。ニトリがDCMに対抗する格好となるため、「ニトリのTOB価格は4,200円よりも高くなりそう」という思惑で、島忠の株価はさらに4,500~5,000円まで上昇していきました。

 そして、29日の夕方に、ニトリから正式なTOBの実施と5,500円というTOB価格が発表され、30日の取引では島忠の株価もそれに合わせて上昇しています。チャートを見ると、5,500円からさらに値を伸ばしていますが、TOB合戦の様相を呈してきたことで、「さらにTOB価格の引き上げもあるのではないか?」という思惑が反映されたものと思われます。