新車販売が9月も好調、大手メーカーが再び焦点に
ピークシーズンを迎えた新車市場は出足から好調で、9月には乗用車、商用車、新エネルギー車(NEV)の販売台数が前年同月比8.0%増、40.3%増、67.7%増と予想を上回った。BOCIは景気回復と季節要因から新車販売が年内に好調を維持するとの見方。7-9月の堅調を踏まえ、20年通年の新車販売見通しを上方修正した。乗用車は前年比7%減(修正前11.4%減)、商用車は17.8%増(7.4%増)、NEVは前年並みを見込む。個別では業況全般の回復を追い風にファンダメンタルズが上向いている吉利汽車(00175)、長城汽車(02333)や、部品の福耀ガラス(03606)のほか、高級車販売を追い風とするディーラー銘柄の中国永達汽車服務(03669)など大手銘柄を選好。ほかに米ナスダック上場のNEVスタートアップ、理想汽車(Li Auto)を有力視している。
まず乗用車を見ると、9月の販売台数は前年同月比8.0%増と、8月の6.0%増から加速した。MPVは12.3%減と低調だったが、人気のSUVは16.0%増、セダンは3.0%増。国内の景気回復や地方の支援策を受け、消費者心理が一段と改善したためで、新型コロナに起因する外出時の安全性への警戒感も、自家用車需要を底上げしたとみられる。
商用車の9月の販売台数は40.3%増。貨物車が43.8%と好調で、中でも大型貨物車が80.2%増を記録した。全国的な5Gインフラ投資の推進や旧式車両(排ガス基準「国3」以下)の廃車規定に加え、過積載に対する取り締まり強化が好調を支えたもよう。BOCIは通年の貨物車販売見通しを前年比9.2%増から同20.9%増に上方修正している。
高級車販売は引き続き好調で、9月には33.0%増と、8月の31.6%増から加速した。1-9月では前年同期比約11%増。乗用車全体の約15%を占めた。
NEVの販売数は前年実績の低さもあり、9月に67.7%増。乗用車が67.0%増、商用車が74.2%増だった。農村部でのNEV普及促進策を背景に乗用車では低価格車が好調。中・高価格帯ではトップセラー「モデル3」を擁するテスラのほか、米上場の上海蔚来汽車(NIO)、Li Auto、小鵬(XPENG)が月間最多を記録した。1-9月のNEV販売台数はこれで17.7%減。BOCIは20年通年で前年並みの120万台を見込む。
ブランドの出身国別では引き続き日本車が好調で、9月の販売台数は20.8%増。以下、米国が16.3%増。ドイツが5.5%増。韓国、フランスは40.9%減、63.6%減だった。
BOCIによれば、7-9月には市場が再び従来型の大手銘柄に目を向ける半面、ディーラー銘柄には利益確定の売りが出た。業況全体の回復基調がほぼ定まったことで、より値ごろ感の強い完成車・部品メーカーに乗り換える動きが加速したもよう。香港上場の自動車銘柄全体の現在株価は21年予想PER(株価収益率)12.8倍で、内訳は完成車メーカーが8.6倍、部品が16.0倍、ディーラーが18.1倍。BOCIは個別では、吉利汽車、長城汽車、福耀ガラス、中国永達汽車服務の株価の先行きに対して強気見通しを付与している。