太陽光ガラス市場、相次ぐ新規参入も当面は“2強”の複占持続へ
太陽光発電パネル用のガラス価格が10月に再び急伸。一部の強気見通しをさらに上回るペースで値上がりし、コストインフレ懸念を打ち消した。BOCIは「市場は今も太陽光ガラス大手の業務レバレッジを過小評価している」とし、大手の利益が市場予想の上限をさらに上回る可能性を指摘。市場を複占する大手2社、信義光能(00968)、福莱特ガラス(06865)の目標株価を引き上げ、同ガラスセクターに対して強気のレーティングを付与。太陽光発電ブームの中、中でもガラス部門が有力との見方を示している。
10月には厚さ3.2mm、2.0mmの太陽光発電ガラス価格が前月比で最大の値上がりを記録。1平方メートル当たりの価格がそれぞれ5元、4元上昇し、35元、28元に達した。こうした状況下で、価格に敏感な民間事業者は発電施設の建設を先送りする可能性があり、21年には全体の設備導入量が40GWに届かない可能性がある。その半面、中国の「第13次5カ年計画」(16-20年)の最終年までに自社の発電容量を引き上げようとする国有事業者は、設備発注を継続しているという。国内の開発会社は総じて両面二重ガラスモジュールの採用に積極的であり、市場では薄型ガラス(通常は両面各2.0ミリ)が浸透しているが、この種のガラスは一重ガラス(3.2ミリのフロントガラス)より多くの溶融能力を使うため、結果的にガラスの供給ひっ迫感が深刻化している。
一方、生産コストを見ると、最近ではソーダ灰価格が小幅に上向いた程度。特に自前の珪砂供給を開始した信義光能では、ソーダ灰調達価格の上昇幅は限定的だった。BOCIは信義光能、福莱特ガラスともに、粗利益率が50%を超えるとの見方。20年下期の利益率および利益がそろって予想を上回るとみる。
複数のフロートガラスメーカーが最近、太陽光発電ガラス市場への参入計画を発表しており、一部は実際、すでに参入した。ただ、新規生産ラインの建設には通常18カ月という長い期間が必要であり、参入計画を発表したばかりの企業が量産化にこぎつけるのは22年になる見込み。BOCIはさらに、“2強”の信義光能、福莱特ガラスに比べた新規参入組の生産コスト高を予想している。これまでの複占環境の下、採算改善やコスト管理面で多くのノウハウを積み上げてきた両社の強みを指摘している。
BOCIは信義光能、福莱特ガラスの利益見通しを上方修正した。3.2ミリガラスの平均販売価格(ASP)見通しを引き上げたためで、最新予想は20年下期に1平方メートル=30.7元、21年に同32元。これに伴い目標株価を引き上げ、株価の先行きに対していずれも強気見通しを継続した。中堅・新興企業と比べたコスト優位から、複占局面は当分続き、両社ともに高利益率を享受するとみている。また、周期的な利益のぶれが軽減される中、投資家が両社を「循環株」ではなく「成長株」として捉える可能性を指摘。これがバリュエーションの向上につながる可能性にも言及している。