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共和党のドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン前副大統領は11月3日に投票が行われる大統領選を繰り広げています。米国の大統領選は長丁場で知られていますが、『米大統領候補討論会』は選挙戦の流れを変える可能性のある終盤戦の山場となります。『米大統領候補討論会』は計3回行われる予定ですが、第1回は29日に中西部オハイオ州クリーブランドで行われ、テレビやインターネットなどで生放送されました。
【ポイント1】注目の『米大統領候補討論会』がスタート
現地時間29日夜、注目の第1回『米大統領候補討論会』が開催されました。『米大統領候補討論会』は共和党と民主党の大統領選公認候補による公開討論会で、過去、多くのドラマを生んできました。今回は共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領との間で行われ、計3回開催される予定です。
『米大統領候補討論会』では、政策内容だけでなく、表情や振る舞い、人間性など大統領としての資質をめぐり激しい応酬が繰り広げられます。トランプ氏は高齢のバイデン氏の判断能力と適格性を攻撃する一方、バイデン氏は新型コロナ対応など政策の失敗を指摘しました。
【ポイント2】バイデン氏は入念に準備し、落ち着いて対応
トランプ氏は攻め手に欠き、イライラする局面も
第1回となる今回は、保守系FOXニュースのクリス・ウォレス氏の司会のもと、「最高裁判事人事」、「新型コロナウイルス」、「経済政策」、「人種と暴力」、「気候変動」、「選挙の正当性」などのテーマについて、計90分間の白熱した論戦が交わされました。バイデン氏はトランプ氏に対し、「新型コロナに関してやるべきことを行わなかった」、「人種差別に対して無神経」と指摘したのに対し、トランプ氏はバイデン氏の息子の疑惑にこだわるなど攻め手に欠く展開となりました。
また、バイデン氏が「この4年間、アメリカは悪くなった」と指摘すると、トランプ氏は「あなたは47年間何もしてこなかった」と激しい非難合戦となり、何度も論戦が中断されました。特に、トランプ氏は司会者から「討論を妨害しています」と苦言を呈されるほど焦りがにじみました。
【今後の展開】第1回『米大統領候補討論会』は乱戦。残りの討論会に期待
世論調査で劣勢に立つトランプ氏は『米大統領候補討論会』を挽回のチャンスとしていましたが、第1回は入念に準備を行い冷静に対応したバイデン氏が優勢であったように見られました。討論会直後の東京市場もバイデン氏優位と判断し、円買いドル売りが進み、主要株価指数は下落に転じました。今回の討論会は多くのメディアで史上最悪と評価されましたが、『米大統領候補討論会』は10月15日、22日にあと2回開催され、10月7日には副大統領候補による討論会も予定されており、内容の濃い討論が期待されます。