米国金利上昇でREITはどうなる?

しんた:ひなちゃん。経済にとって、投資にとって、REITにとって大事な指標があります。それは、なんだと思う?
ひな:え!? 人口とか、国の規模とか……。
しんた:それも正解。今回は「金利」について話すね。いま「米国金利の上昇」が話題になっているんだ。

ひな:金利の話しは前回出たね[13話]。アメリカの金利は上がっているの?
しんた:うん。金利が上がるってことは……?
ひな:「支払利息が増えるから、分配金が下がって、リートは下がるかもしれない」! ……でも、日本は低金利だよ。アメリカの不動産の影響ってあるの?

しんた:日本のJ-REIT指数があるように、世界のREIT指数って、あるんだって。中に入っているのは、アメリカが6~7割、日本が約1割、その他ヨーロッパとかオーストラリアなんだって。だから、アメリカの不動産が下がると、世界のREIT指数に投資している人がそれを売る。そうすると、日本のREITも売られる可能性があるってこと。
ひな:なるほど~引っ張られちゃうのね。

銀行の事件でREITはどうなる?

しんた:最近銀行の動きも気になるんだよね。
ひな:銀行? なんで?
しんた:ひなちゃんが言ったとおり、不動産に支払利息はつきもの。ってことは、誰かが融資しているって、ことだよね?

ひな:あ、銀行だ。
しんた:そう。お父さんの話だと、つい半年くらい前まで、銀行は積極的に不動産融資をしていたみたい。でも、2018年に入ってからは、逆風が吹いている。
ひな:逆風?

しんた:うん。2018年には、いくつかの銀行の不動産関連の不正融資事件があったんだ。それで、金融庁が銀行に対する検査を厳しくしているんだって。その影響で、これまでよりも、銀行の不動産融資に対する基準が厳しくなる。

 不正のあった投資用不動産はもちろんだけど、住宅も影響があるよね。オフィスとか、商業用施設だって、「不動産」ってひとまとめだから、多かれ少なかれ、基準は厳しくなるかもね。

ひな:わ、そわそわしてきた。

リーマンショックの引き金は不動産

しんた:じゃあね、クイズじゃないんだけど、リーマンショック! ひなちゃん、リーマンショックって、なんで起きたんだっけ?
ひな:だって、リーマンが倒産したからリーマンショックでしょ?
しんた:じゃあ、なんでリーマンは倒産したのか・・・。

ひな:はて?
しんた:引き金になったのは、アメリカのサブプライムローン。これって、「個人向け住宅ローン」ってことなんだ!
ひな:!! つまり、「不動産」!

しんた:2007年6月ごろから、サブプライムローンが問題視されたみたい。アメリカの銀行が審査基準を甘くして、住宅ローンを出しまくったのが原因。だから、そのころから銀行の審査基準が厳しくなった。
ひな:……。なんか、今の日本とすこし重なるね。ん? ちょっと待って! 2007年6月……?
さっきのグラフもう一回見せて!!

ひな:2007年6月ごろがJ-REITの最高値で、リーマンショックのころは、だいぶ下がっちゃっているじゃん!
しんた:そう。だから、これが引き金。

ひな:つまり、「アメリカの金利が上がってきたから、リーマンショックと同じ動きになるってこと!?」 
しんた:それは極端だよ。「空室率が下がって、不動産市況が活況なので、J-REIT指数はまだまだ上昇余地があります!」って記事もいくつか見たし。
ひな:相場は上がったり、下がったりするから、今までどおり積立をすればいいってことだよね。

しんた:あと、「だいぶ下がったな」って時に、積立している分にプラスオンすればいいと思う。J-REITって、グラフを見る限りでは、1,000ポイントと2,000ポイントの期間が長いから、1,000ポイント割れたら、ちょっとプラスオンするとか。

ひな:下落のときの積立プラスオン計画だね!
しんた:今は上昇し続けているから下落になる「転換点」も近いんじゃないかとも考えていて。だからこそ、積立投資(長期投資)がいいと思う。

ひな:新しい国策は打ち出していないの?
しんた:それが2018年10月中旬に、『政府が消費税上げに際して住宅エコポイントの復活を検討している』ってニュースが発表されたよ。

ひな:おお! でもそれって、リーマンショック後の「国策」と一緒じゃない。
しんた:そう。なんか、「もう一回」って、ホントにうまくいくのかなぁ、って思うよね。しかも、消費税上げもセットになったら、不動産は、なかなか買えないんじゃないかな。「国策」だから、やらないよりはいいんだろうけど、アベノミクス級のファンド価格の上昇には程遠いかな。

ひな:じゃあ、ファンドの価格上昇はあんまり期待できない、ってことなのか……。しんた君、どっちかって言うと、不動産市場とか、J-REITの価格については、弱気派だねっ!

しんた:といいつつ、アベノミクスを超える、すんごい「国策」が発表されたら、大逆転もあるかもよ。

ひな:不動産の見かたが分かってきた! ありがとう!