どんな金融商品があるのか?

 では、具体的な金融商品の話に移りましょう。

 バランス運用の金融商品は、筆者が思いつく限りでは、「バランス型の投資信託」、「ファンドラップ」、「ロボアドバイザー」です。

 これらの商品には、多くの場合、顧客の受け入れられるリスクの大きさ(我慢できる価格変動の大きさ)に応じ、大きく分けて、「積極型」、「中立型」、「安定型」のコースがあります。

  1. 積極型・・・ハイリスク・ハイリターン
  2. 中立型・・・ミドルリスク・ミドルリターン
  3. 安定型・・・ローリスク・ローリターン

 受け入れられるリスクの大きさ次第なので、一概にどれがいい、どれが悪いとは言えませんが、今回検討している「すぐ使わないお金」(ただし、場合によっては、すぐ使うかもしれないお金)を運用するにあたっては、あまり元本を大きく割り込むリスクは取れませんので、上記の場合、2または3が投資対象になると思います。

 なお、投資する場合は、毎月一定のタイミングで同じ金額を投資し続けることをお勧めします。そうすることで、一定の期間が経過した後は、あまり元本を割り込む心配をすることなく、銀行預金を上回るリターンを上げられる可能性が高まります。

 では、最後に投資する場合の注意点を二つご説明します。

その1:投資する商品の目標リターンと投資するときにかかる総コストのバランス

 投資する商品は、「バランス型の投資信託」、「ファンドラップ」、「ロボアドバイザー」の2中立型(ミドルリスク・ミドルリターン)、3安定型(ローリスク・ローリターン)であれば、特別にどれがいいということは言えません。

 ただ投資する商品の目標リターンが、投資するときにかかる総コストを下回るものには、投資してはいけません。それは、以下のように、投資する前から最終的なリターンがマイナスになることが想定されているということだからです。また当たり前ですが、投資する商品の目標リターンが総コストを上回れば、上回るほど、望ましいと言えます。

 投資する商品の目標リターン、及び投資するときにかかる総コストは、「バランス型の投資信託」、「ファンドラップ」、「ロボアドバイザー」のいずれも販売会社や運用会社に問い合わせれば、確認することができます。

その2:投資対象

 投資対象がリスク性資産、安全資産の両方を含んでいるかをチェックします。バランス運用では、多くの資産を投資対象とするケースが多いので、そんなのチェックできないと思われるかもしれませんが、簡単な方法があります。

 具体的には、安全資産である先進国国債(為替ヘッジあり)が投資対象に含まれているかを確認します。もし含まれていなければ、バランス運用の商品として、投資することをお勧めできません。(金融商品では、先進国国債(為替ヘッジあり)の表記方法は複数ありますが、「先進国国債(為替ヘッジあり)、外国証券(為替ヘッジあり)、海外債券(為替ヘッジあり)」などと書かれている場合は、通常、先進国国債(為替ヘッジあり)を含んでいます。)

 国内債券(日本国債)も安全資産と説明していたではないか、日本国債が入っていれば、先進国国債(為替ヘッジあり)はなくてもいいのではないか、と思われるかもしれませんが、日本国債の現状の値動きは、日銀がどれだけ買うかで大勢が決まってしまいます。そのため、日本国債が安全資産として、株式等のリスク性資産と異なる値動きを十分してくれるか、筆者はやや怪しいと感じています。そのため、投資対象に日本国債が入っていたとしても、先進国国債(為替ヘッジあり)が入っているべきと考えています。

 なお、先進国国債でも為替ヘッジなしでは、ダメです。これまで何度も書いてきましたが、為替変動の影響を受けますと、債券でも安全資産ではなく、リスク性資産になってしまいます。

 基本的に投資対象に為替変動リスクを避けるための為替ヘッジがまったくされていない金融商品は投資対象として、筆者はお勧めできません。

 次回は、前回の連載で書きました「長期間、10年以上使うことがないお金」の運用について書きたいと思います。