ネットワンシステムズ
1.2021年3月期1Qは3%増収、53%営業増益
ネットワンシステムズは、大小のネットワークを構築するネットワークインテグレーターの大手です。同業は、富士通、日本電気、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTコムウェアなどです。技術力に定評のある会社です。
2021年3月期1Qは、売上高365億500万円(前年比2.6%増)、営業利益26億1,100万円(同52.8%増)となりました。
売上高は前年比2.6%増に止まりましたが、エンタープライズ(一般企業)、パブリック(中央官庁、地方自治体)向けで、テレワーク関連、セキュリティ関連、クラウド基盤の整備などネットワンシステムズの得意分野の受注、売上が多くなり採算向上に貢献しました。
また、機器以外のサービス(サポート、コンサルティングなど)売上高比率が前1Q45.0%から今1Q46.9%に若干上昇したことも寄与し、売上総利益率は前1Q26.7%から今1Q28.5%へ上昇しました。
加えて、全社的にテレワークを実施したため、販管費は横ばいでした(前1Q77億7,000万円、今1Q78億400万円)。
この結果、営業利益は前年比52.8%増と大きな伸びになりました。
表4 ネットワンシステムズの業績
2.2021年3月期は上方修正期待が大きい
2021年3月期、2022年3月期ともに、今1Qの傾向が続くと予想されます。即ち、受注と売上は、テレワーク関連、セキュリティ関連、クラウド基盤の構築が多くなりそうですが、これは企業と官庁、自治体が新型コロナウイルス禍に対応しようとするためです。官庁と地方自治体の投資の場合は、景気対策の意味合いもあると思われます。
また、GIGAスクール構想(小中高の校内LANの整備、小中生の1人1台パソコンの実現によって、教育現場でICTを活用する)も、ネットワンシステムズにとって重要なプロジェクトとなりそうです。今1QのGIGAスクール関連受注は約70億円、今2Qも同程度の受注が見込まれます。
今期は会社側は受注高2,050億円(前年比0.3%増)を予想していますが、GIGAスクールのような官庁、自治体関連や、企業向けの受注増加が期待できるため、上乗せの可能性があります。
今期業績も、会社予想を上回ることが期待できます。今期は、会社予想は売上高1,900億円(前年比2.1%増)、営業利益170億円(同3.2%増)ですが、楽天証券では、売上高2,000億円(同7.4%増)、営業利益220億円(同33.5%増)と予想します。
また、2022年3月期は、楽天証券では、売上高2,100億円(同5.0%増)、営業利益270億円(同22.7%増)と予想します。業績好調が続くと思われます。
新型コロナ禍に対応するために、景気対策も含めて国、地方自治体、企業が、様々なネットワーク投資を増やしていることが、ネットワンシステムズの業績の追い風になっています。
表5 ネットワンシステムズのマーケット別受注高
表6 ネットワンシステムズのマーケット別売上高
4.今後6~12カ月間の目標株価は5,400円
今後6~12カ月間の目標株価を、5,400円とします。楽天証券の2022年3月期予想EPS 214.8円に、成長性を評価した想定PER25倍を当てはめました。投資妙味を感じます。
なお、2019年12月に発覚した不正取引(架空取引)については、既に全容が解明され、会計上の過年度決算修正がなされています。決算上の影響額は、2015年3月期から2020年3月期2Qまでに、売上高に総額321億円、営業利益と経常利益に各同36億円、当期純利益に同93億円のマイナス影響となりましたが、ネットワンシステムズの企業価値にとって決定的なマイナス要因ではないと判断されます。
本レポートに掲載した銘柄:SCREENホールディングス(7735)、ネットワンシステムズ(7518)