マーケット・サマリ

 先週7日(金)に発表された米雇用統計は、非農業部門雇用者数が176.3万人と前月の過去最多の479.1万人から大きく鈍化したものの予想を上回りました。また、失業率も10.2%と予想をやや上回り、3カ月連続で改善したことから為替市場ではドル高の反応となりました。しかし、米国が、米政府高官の台湾訪問や、中国・香港の高官に対する制裁発動と次々とカードを切りまくり、中国も米議員ら11人を制裁し米国に対抗するなど対立が激化していることから、ドル/円の106円台の伸びは鈍い動きとなっています。

 マーケット全般は夏枯れ相場の様相になってきています。軍事的緊張など米国が大胆なカードを切ってこない限り、マーケットの大きな変動はなさそうですが、警戒心は持ち続ける必要がありそうです。

中国に対する米国の金融制裁

 また、マーケットで関心が高まっているのが中国に対する金融制裁です。金融制裁とは、米国が中国の銀行のドル資金調達規制や、香港ドルのドルペッグ解除、中国の米国債や米株などの保有資産の凍結などです。中国もこれに対抗して、資産凍結前に米国債や米株の売却の可能性があります。しかし、これらのことが実際に起これば、世界中の金融・株式・為替市場に大きな影響をもたらし、米中双方にとっても被害が甚大になるため、起こりえないシナリオとは思いますが、マーケットでは対立が激化するたびに話題に上がってきているため、留意する必要はありそうです。