9月の株主優待銘柄

 2020年9月の優待株は、権利付き最終日が9月28日(月)、権利落ち日が29日(火)、権利確定日が30日(水)と、土日をまたがない最短の並びになります。9月28日(月)までに株を購入し、翌29日(火)まで持ち越すことが優待権利取得の条件です。

 9月は3月に次いで銘柄数が409※もある優待祭の月。ただし、今年はコロナ・ショックで減配(配当額が減ること)や無配(配当が出ないこと)に転落する9月優待株が続出。優待株の世界では、優待廃止や権利取得のための株数、保有期間の引き上げなども相次いでいます。コロナウイルス感染症の猛威が依然として続いていることから、優待株に多い小売り、外食、旅行、運輸株などに関しては年後半の業績V字回復が望み薄になり、さらなる業績悪化リスクも高く、先行きは非常に不透明です。
※楽天証券 株主優待検索より

 そんな異例の2020年9月優待祭の人気1位はオリックス。同社の優待のメインは3月株主に贈られる豪華な「ふるさと優待」のカタログギフト。9月はレンタカーの基本料金30%オフや傘下のホテル宿泊料割引などが受けられる株主カードだけになります。3月の「ふるさと優待」は保有期間3年以上で内容がグレードアップされるので、株価が大きく下がった今、保有期間を稼ぐ意味もこめて長期投資するのも一つの考え方かもしれません。業績は不透明ながら、9月末の2020年度中間配当は、前年と同じ1株35円を死守するというのが会社予想です。

 人気2位は、過去には同業のANAより下位に甘んじていることの多かった日本航空。優待は国内線50%割引券優待ですが、3月に比べ、9月は保有株数によってはもらえる枚数が少なく、100株は0枚、200~399株保有で1枚、400~599株で2枚。

 同社の2020年第一四半期は、国際便がほとんど稼働しなかったこともあり、937億円の純損失となり、前期は1株あたり55円だった中間配当に関しても無配に転落。今後も先行きは不透明で、さらに株価が下落する恐れもあるので要注意です。

 3位はヤマダ電機の買物券優待。年2回優待で、9月末は100株保有だと3月末の倍の2,000円分の買物券がもらえるほか、1年以上継続保有しているとプラス500円の長期保有優待もプラスされます。

 4位は、ANAホールディングス。100株保有で3月と9月の年2回、国内全路線の航空運賃が半額前後になる「株主優待番号ご案内書」が各1枚、グループのホテル、パックツアーなどの割引クーポンが付いた冊子1冊が贈られます。同社の2020年第一四半期(4-6月期)は売上高が75%減で、1,590億円もの巨額営業赤字に転落。前期末は無配となりましたが、今期の期末配当についても未定のままです。

 5位はタカラトミーの自社商品購入割引優待です。同社は3月、9月の年2回優待ですが、ファンに大人気のトミカ2台セットがもらえるのは3月末のみ。9月末は公式通販サイト「タカラトミーモール」での買物10%割引が優待内容になります。割引率は保有期間に応じて増え、3年以上保有すると40%割引(利用限度額は最大10万円まで)。

 6位は「にぎりの徳兵衛」や「ステーキ宮」などを展開するアトム。3月・9月末の年2回、100株保有で各2,000円分の株主優待ポイントが贈呈されます。親会社のコロワイドや、同じグループのカッパ・クリエイトの店舗でも使える点が魅力。しかし、今期も店舗閉鎖による特別損失の計上で3期連続の最終赤字になる可能性も高く、株価もコロナ後最安値近辺まで下落しています。

 7位はトリドールホールディングス。100株保有で、3月・9月末の年2回、「丸亀製麺」や「コナズ珈琲」で使える3,000円分の食事割引券がもらえます。200株以上を1年以上継続保有すると、さらに年2回、3,000円分の割引券が追加。近年は積極的な他社買収で、使えるお店がどんどん増えているのも魅力です。

「丸亀製麺」の全店売上高は6月時点ですでに前年比87%まで回復。今期の期末配当は株式分割を考慮すると前期と同額の、1株あたり6.25円を予想しています。