6月の米国民間調査PMIは「企業の景況感改善」を示した
一方、5月以降のロックダウン緩和の効果で米国の製造業・サービス業(非製造業)の景況感は改善に向かっています。
図表2は、世界の市場参加者が「最も早い時期に発表されるソフトデータ」として注目している民間調査PMI(購買担当者景気指数)の推移を示したものです。
23日にマークイットが発表した6月の米国PMIによると、企業景況感は4月に底入れ。5月と6月に総じて改善基調を示し、「景況感の分岐点」とされる「50」に迫る回復を示しています。
具体的には6月のサービス業PMI(速報値)は46.7と5月(37.5)から改善。サービス(非製造)業は米国のGDP(国内総生産)において約3分の2を占めるとされ、同分野の業況感が総じて上向いたことは注目です。製造業PMI(同)も6月は49.6と5月(39.8)から改善しました。
米国経済は2月に景気後退(リセッション)入りしたとされますが、景気の落ち込みが終わりに近づいているとの期待を確認する動きを示しています。
「コロナ危機」で急速に強まった資金繰りの困窮(根詰まり)に政府・金融当局が迅速かつ大規模な資金供給で応じたことに加え、5月以降のロックダウン緩和で落ち込んでいたサービス業と製造業の企業景況感が急速に改善してきたことは、株式市場の下支え要因です。
<図表2>米国企業の景況感は総じて底入れしつつある(民間調査PMI)
雇用情勢など実体経済はいまだ厳しい状況で、感染「第2波」の動向とその経済的な影響は予断を許さない状況です。ただ、発表が遅くなりがちなハードデータ(経済指標)より早い時期に発表される「ソフトデータ」(企業に対する聞き取り調査)と呼ばれるPMIの行方には引き続き注目したいと思います。