ナスダック主力株の最高値更新が牽引する米国株高
米国市場では、GAFAM(またはFAANG)と呼ばれる大手IT関連株が主力であるナスダック100指数が5日から、ナスダック総合指数が8日から連日で最高値を更新しました(10日)。図表1は、日米市場の時価総額加重平均指数であるTOPIX、S&P500指数、ナスダック100指数の推移を示したものです。
S&P500指数が最高値圏に反発したことがTOPIXの下値切り上げに寄与してきたことがわかります。そしてS&P500指数と主力銘柄が多く重なるナスダック100指数(ナスダックで時価総額が大きい非金融銘柄100社で構成される)の最高値更新が米国株式の戻りを牽引している状況がわかります。
日経平均やダウ平均など株価単純平均指数は一部値がさ株の振れに左右されやすく、時価総額加重平均指数の方が市場全体のトレンド(趨勢)を正しく示すとされます。大胆かつ大規模な金融緩和と財政出動による「過剰流動性」と先行きの景気回復期待(ロックダウン解除後の景気回復見通し)が株価反発の原動力となっています。
FRB(米連邦準備制度理事会)は9-10日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)で「政策金利を2022年までゼロ付近で維持する」との見通しを表明。パウエルFRB議長は直後の記者会見で「YCC(債券利回り抑制)も検討中である」と述べてハト派的な姿勢を示唆しました。
とはいえ、日本でも米国でも株価上昇のペースに警戒感は根強く、利益確定や戻り売りによる反落やスピード調整への移行も警戒したいと思います。