米中対立に欧州参戦
さて、コロナ感染と景気の波の時間軸は中長期的なシナリオですが、足元では最大の政治要因である米中関係が重要要因として控えています。
新型コロナウイルスの感染第1波と第2波の間で米中対立は更に激化することが予想されます。米国では11月の大統領選挙を控え、共和党も一丸となって感染拡大の影響を中国に責任転嫁し、中国への制裁を強化しています。
中国は、マスク外交によってこの機に中国覇権の姿勢を強めてきており、最近では「戦狼外交」という高圧的な態度で中国を批判する国家を批判しています。「戦狼外交」は世界各国で批判が高まってきており、国内でも得策ではないとの意見が出始めています。
しかし、全人代で経済成長目標を見送るなど、中国の経済もよい状況ではないため外交ではますます強気で臨んできそうです。
中国の高圧的な外交姿勢に対して、最近ではフランスやドイツが批判を強めてきています。米中対立に欧州も加わると、米中の二国間の覇権対立ではなく、「欧米vs中国」と世界が分断される構図になるかもしれません。
しかし、欧州の中でもイタリア・ポルトガル・ギリシャなどは中国の外交攻勢も強く、それらの国は中国寄りになっているため、中国への対応は分かれる可能性があります。
ドイツ・フランスを中心とした北部欧州とイタリア・ポルトガル・ギリシャを中心とした南部欧州の中国に対する対応が分かれると、欧州が加わった米中対立は「欧米vs欧中」になることも考えられます。
欧州の南北分裂はEU復興基金創設にも影響し、北部欧州の中でも反対しているオランダやオーストリアとの調整が難航すると、欧州全体にとってはかなり深刻な問題になる可能性があります。
世界は分断され、欧州も分断されるとなるとかなり複雑な政治状況となり、株式、金融市場にとってはマイナス材料となりそうです。今後は米中対立問題を見るときに、欧州の動向にも注目していく必要がありそうです。