前日(9月28日)の市場概況
買い疲れと高値警戒感でドル調整
トランプ政権が発表した税制改革プランがきっかけとなって、今週のマーケットではリスクオンがにわかに活気づきました。減税プランは、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)がつくったドル買いの流れを続けるための恰好の材料になったわけですが、その財源をどうするかは不透明なまま。そもそも、税制改革の第一歩になるはずだったヘルスケア法案さえ、成立の見込みはありません。
この日のドル/円は徐々に勢いを失い、米長期金利の低下と共に112円台へ下落。ドルが下げたことで、金先物はやや持ち直しました。一方、NY株価は小幅高で、S&P500指数は過去最高値を更新しました。
今日の注目イベント
9月末の本日は、多くの重要指標が発表されます。欧州時間は英国GDP(国内総生産)、欧州HICP(消費者物価指数)。NY時間は米PCEとカナダGDP(個人消費支出)に注目。
今日の見通し
ドル/円:今夜の指標で米利上げ期待高まるか?
イエレン議長発言とトランプ減税を追い風に113円まで上昇したドル/円ですが、この日はさすがに買い疲れもでました。ドル/円は東京時間午後に113.20円まで上昇しましたが、この昨日の高値水準で押し戻されると112.24円まで下落。チャートではミニ・ダブルトップを形成。114円台にチャレンジするには、新しい材料が必要。とりあえずは、上値を追いかけるより、押し目買いのレベルを探ることになりそうです。
今日注目の経済指標は、米国の8月PCE(個人消費支出コア・デフレーター)。この指標は、FOMCも注目しているインフレ指標です。市場予想を上回る結果ならば、新しい支援材料となって、12月利上げに対する確信が強まるでしょう。とはいえ、マーケットはすでに70%近く利上げ織り込んでいるので、サプライズのハードルは高いといえます。
ユーロ:ドイツ政治問題が懸念。欧州HICPに注目
ECB(欧州中央銀行)の9月 HICPの速報値の予想は、前年同月比+1.6%(前回+1.5%)。HICPがしっかりしたペースで伸びているならば、ECBは金融政策の正常化をより安心して進めることができますドラギ総裁は10月の会合で、量的緩和の具体的内容について発表する予定です。
しかし、直近のユーロの話題はECBの金融政策よりも、ドイツの政治に注目が集まっています。メルケル首相は、連立政権の組閣に手間取っていて、最悪の場合、再選挙という噂もあります。ユーロの盟主であるドイツの政治的混乱は、フランス大統領選挙の時以上にユーロ/ドルに悪影響を与える可能性があります。
ポンド:ブレグジットは進展なし。英GDPは今後縮小か?
ドル高の動きのなか、ポンド/ドルは1.3342ドルまで下げて週の安値を更新したあと、1.3454ドルまで持ち直しました。
今日の注目指標は、4-6月期GDP(確定値)。メイ首相は、ブレグジットの影響を最小限に抑えるために、2年間の移行期間を設けることを提案しています。しかしEU側は「去るものは拒まず」の態度で、英国に譲歩しようという気はありません。英国の経済見通しは明るいとは言えず、ブレグジット完了前に体力を失って倒れてしまうのではないかと危惧されています。英国の経済成長率は今後鈍化するとの見方が強まっています。またカーニーBOE(英国中央銀行)総裁のスピーチも予定されています。
カナダ:高値警戒感も。7月GDPはやや低下の予想
今月5日、BoC(カナダ中央銀行)は、予想外の利上げに踏み切り、政策金利を1.00%に引き上げました。しかし、8月のCPI(消費者物価指数)は市場予想を下回り、やや力強さに欠けました。「今後利上げするかどうかは経済データ次第」とポロズBoC総裁が発言したことで、カナダ/ドルに対する高値警戒感もでています。今後のカナダの利上げを予想するうえでも、今日の指標には注目です。7月GDPはやや低下の予想となっています。