二番底あるか?

 これから、大きな調整があるか、考えるために、過去5年の日経平均の動きを振り返ります。以下のチャートをご覧いただくと分かる通り、日経平均は大きくトレンド転換する際に、「二番天井」「二番底」をつけてから転換するパターンを繰り返しています。

日経平均株価の推移:2015年1月5日~2020年5月11日

注:楽天証券経済研究所が作成

 上昇トレンドが終わって下落トレンドが始まる前に「二番天井」をつけ、逆に、下落トレンドが終わって上昇トレンドが始まる前に「二番底」をつけたことが多かったことが分かります。
2015~2016年のパターンをご覧ください。2015年は、好調だった世界景気が悪化に向かった局面です。日経平均は、二番天井をつけてから急落しました。

 2016年は、景気後退ぎりぎりまで悪化した世界景気が回復に向かった年です。日経平均は二番底をつけてから、急騰しました。

 次に、2018~2019年のパターンをご覧ください。2018年の日経平均は、二番天井をつけてから急落しました。好調だった世界景気が悪化に向かう転換点となった年だったからです。2019年は、日経平均は二番底をつけてから上昇しました。2020年にかけて世界景気が持ち直す期待が上昇ドライバーとなりました。

 このように、トレンド転換の際、二番天井や二番底をつけてから転換するのは、相場にとって自然なリズムです。好材料が減り、徐々に悪材料が増えていく時は、「二番天井」をつけてから急落するのが自然です。一番天井をつけた時は、上昇相場局面の押し目か、相場の転換点か、判断できません。二番天井をつけて下げた時に、トレンド転換を確信する投資家が増えます。

 2020年のコロナ暴落は、二番天井にはならず、一発で相場が変わりました。コロナ感染による世界景気悪化が、予告なく突然あらわれ、急激に進んだからです。

 今、日経平均は、コロナ・ショックの下げ過ぎの反動で、どんどん反発しています。ただ、あくまでも経験則ですが、このまま押し目なく戻り続けるとは、考えにくいところです。夏場に、一度押し目があって、その後、本格的に上昇トレンドに戻った方が自然な流れと考えます。

 さて、そうは言っても、今回のコロナ・ショックは何から何まで異例づくしです。過去の経験則が成り立つか、分かりません。短期的な下げに賭けて日本株を売り過ぎないようにした方が良いと思います。株の保有を減らし過ぎず、時間分散しながら株の保有を増やしていくのが良いと、私は考えています。

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