2:日米欧・株価指数と新型コロナウイルスの関係
新型コロナウイルスと共存する必要性
NYCでは新規入院患者数の増加は収まってきましたが、だからといってすぐに都市封鎖の解除はできません。現にニューヨーク州のロックダウンは5月15日まで2週間延長されました。
新型コロナウイルスを全く気にせずに人間が動き回るためには、少なく見ても3割の人が免疫を持つ「集団免疫」となる必要があるようです。そのためには予防接種(ワクチン)が必要ですが、ワクチンが完成し、世界中に出回るには相当な時間がかかると考えられています。少なくともそれまでの間は、人々がこれまでと同じようなペースで自由に動き回ることは難しく、新型コロナウイルスと共存しながら生活していくことになると思います。
主要国株式市場の反応
ここで主要国株式市場に目を転じると、新型コロナウイルスが世界中に広がり始めて以降、主要株価指数間でパフォーマンスがかなり異なっています。3月の暴落から最も回復力が強いのがナスダック総合指数、次いで構成銘柄が重複するS&P500株価指数が続きます(図3)。一方、日欧株式市場の戻りはかなり見劣りしています(図4)。
図3:米国の株価指数の推移
図4:日欧の株価指数の推移
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。 この要因を推測すると、指数構成銘柄のうち、長期的に見て「新型コロナと共存できる銘柄」がどれくらいあるのか? によって差が出ているものと考えています。当面の相場は、新型コロナと共存できる銘柄が買われる一方で、共存できない銘柄が低迷する、そんな相場展開が続くのではないでしょうか? もう少し詳しく見てみましょう。
指数の業種構成比はこんなに違う!
図5、図6は前項で比較した4指数の業種構成比(図5)とS&P500の業種ごとの年初来パフォーマンス(図6)を見たものです。
パフォーマンス順に並べた結果、生活必需品や公益といったディフェンシブが底堅く、ヘルスケアや情報技術も下げが小さくなっています。一方で、エネルギーや一般消費財サービス(ホテル&リゾート、デパート、高級ブランド、バイク、カジノなどが足を引っ張る)、金融などが相対的にかなり弱くなっています。
つまり、生活必需品・ヘルスケア・公益事業・情報技術の4業種のウエイトが高い米国株指数のパフォーマンスが、強めに出ています。
図5:各株価指数の業種構成比
図6:S&P500の年初来業種リターン
上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
新型コロナウイルスと共存できる産業は?
都市封鎖の間、人々は自宅にこもり、ネットワークを介したコミュニケーションやさまざまな新しい生活スタイルを試みていると思われます。新型コロナの危機が減じていけば、徐々に制約も解かれていくでしょうが、完全に元に戻ることは相当長い間にわたって難しいと思います。人々は新型コロナウイルスと共存する生活を送る必要があるのです。
普及が進みにくかったオンライン・コミュニケーションですが、新型コロナに対処するため、テレワークなどで強制的に取り組み始めた方が多いと思います。しかし、慣れてみれば便利なもので、ビジネスの交渉事を現地に出向かずに効率的に行なえる可能性が出てきたと感じる方も多いと思います。また、映画館に行く代わりにネット配信で楽しむこともできますし、既に買い物はネットで十分になっています。大きな変化期ではないでしょうか。