配偶者には2000万円を非課税で渡すことができる
贈与の中には、配偶者控除というものがあります。配偶者控除は、婚姻20年以上の配偶者に居住用の不動産またはそのための資金を贈与する時、2000万円(暦年贈与と合わせて2110万円)までが非課税になるものです。
これは配偶者の老後を考えると利用価値が高い贈与です。2000万円の非課税枠を利用して事前に自宅などを配偶者に贈与しておけば、相続時に相続人同士で自宅の分割のことで揉めることもありません(ただし配偶者の方が高齢の場合は、考慮が必要です)。また、暦年贈与には相続開始3年以内の贈与加算があるとお伝えしましたが、配偶者控除を使って贈与した部分については3年以内加算のルールは適用されません。
つまり、相続直前でも2000万円というまとまった額を移転でき、しかも贈与税も相続税も発生しません。しかしながら、贈与時には登録免許税、不動産取得税などの費用がかかる他、贈与時には小規模宅地等の特例が使えません(小規模宅地等の特例は、項目28を参考)。
(大久保 栄吾/税理士法人大久保会計 税理士)
※この記事は2016年4月15日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。
「幻冬舎ゴールドオンライン発 賢い資産の守り方」は、今回をもちまして休載となります。