[お詫びと写真変更]
2020年4月1日公開時の当記事内の写真において、浅草寺のイメージを著しく損なう不適切な使用をしておりました。当該写真を変更するとともに、浅草寺様および被写体となった従業員様に対し、心よりお詫び申し上げます。
コロナ・ショック、日本株を売ったのは誰か?
日経平均株価の激しい値動きが続いています。2月25日~3月19日まで、日経平均はわずか4週間で6,834円(29%)下がる「暴落」となりました。ところが、先週、3月23~27日には、1週間で2,836円(17%)の急反発となりました。今週は、1万9,000円をはさんで神経質な動きが続いています。
日経平均日足:2020年1月4日~3月30日
これほどまで、大慌てで日本株を売ったり買ったりしているのは、誰でしょうか?答えは、外国人投資家です。
まず、2月25日~3月19日までの暴落局面での売買手口を見てみましょう。
急落局面での投資主体別売買動向:2020年2月25日~3月19日
ご覧いただくとわかる通り、日経平均を暴落させたのは、外国人投資家です。外国人の売りは、ここに出ているだけではありません。ここには株式現物の売りだけが出ています。外国人は、日経平均先物も1兆円超、売り越しています。
一方、国内投資家は、この暴落局面で大量に買い越しています。最大の買い手は、個人投資家で、1兆円を超える買い越しとなっています。日本銀行も、同じく1兆円以上買っています。事業法人は、「自社株買い」で、近年安定的な買い越し主体となっていますが、この暴落局面でも5,922億円も買い付けています。
信託銀行(信託勘定)も買い越し。信託勘定を通じて売買しているのは、年金基金です。特に、公的年金の影響力が大きくなりました。この暴落局面で、リバランスの買い【注】を出していたと考えられます。
【注】リバランスの買い
公的年金は、年金資産を基準ポートフォリオ(日本株・外国株・国内債券・外国債券の標準組入比率を決めたモデル・ポートフォリオ)に従って長期運用しています。最近、日本株・外国株が急落したことで、時価ベースで評価した内外株式の組入比率が基準よりも、大幅に低くなっていたはずです。
3月末に決算期末を控え、公的年金は、基準ポートフォリオから大きく乖離した組入比率を、基準に近づけるリバランスを実行する必要があるはずです。そのための日本株買いが、3月末受渡ベースの最終売買日(3月27日)に向けて、出ていたと推測されます。
この売買主体を見て思い出すのは、2008年9月のリーマン・ショック直後の暴落です。日経平均が暴落する中で、巨額の売りを出したのは外国人で、それに巨額の買いで立ち向かったのは、個人投資家と信託銀行(年金基金)でした。
当時は、日銀の買いはなく、事業法人による自社株買いもまだあまり大きくありませんでした。ただし、「外国人が売って、個人と年金が買う」構図は、当時と今と全く同じです。