セクター別にJリートの値動きを分析する

Jリートの業種構成比

 図はARES(不動産証券化協会)分類で⾒たJリートの業種構成比です。新型コロナウイルス感染拡大抑制策のダメージは、利用が大幅に抑制されているホテルや商業施設などへは直接的に大きく影響していると思われますが、長期契約のオフィス、ネット通販が活況の物流施設、安定的な住宅やヘルスケア施設などへの影響は限定的と思われます。

過剰な下落となっている業種もあるのでは?

 一方、年初来の業種別パフォーマンスをGICS分類で⾒てみると、新型コロナウイルス感染拡大抑制策のダメージを最も大きく受けると思われる「ホテル・リゾート」セクターの下落率が▲55.1%で最大となっています。一部の調査によれば、2月の国内ホテル客室売上は前年比3割減で、3月は更に悪化しているとされ、業績大幅悪化は避けられません。▲44.1%と2番⽬の下落率となっている「リテール」セクターも主力の商業施設の売上が落ち込んでおり、下落率が大きいことは理解できます。

 しかし、長期契約が主体とされるオフィスが▲41%、オフィスや物流センター、商業施設などを複合的に運営する各種不動産が▲40.8%、ヘルスケアも▲31.1%と株式市場以上の下落となっています。このような事態になっている理由を考えると、Jリートの投資家が換金売りのためにホテルや商業施設だけでなく、流動性が高い主力のオフィスや物流施設なども併せて売却している影響が出ていると考えています。特に金融機関などからの投げ売りが出ているものと言われています。