主力大型株のなかで「配当利回り6%超の銘柄」を選別
米国を中心に世界株式が波乱相場となるなか、国内株式も総崩れとなり、個別銘柄には株価が過度に下落している印象が強いものが増えています。
本稿では、東証第1部上場銘柄で時価総額が比較的大きい「主力大型株」のなかで、「予想配当利回りが著しく上昇した銘柄群」に注目したいと思います。銘柄選別の母集団(ユニバース)として、TOPIX100指数(東証1部上場の時価総額上位100社)構成銘柄をベースにしました。
図表2に示した13銘柄は、TOPIX100指数を構成する100銘柄の中から、1.今期(主に2020年3月期)の予想配当利回りが6%を上回る、2.PBR(株価純資産倍率)が1.00倍未満の銘柄を、予想配当利回りの降順(高い順番)に一覧したものです。
TOPIX100指数を構成するこれら銘柄は、国内市場のなかで各業種(セクター)の主力大型銘柄であり、「日本株式会社」を象徴する銘柄群とも言えるでしょう。
図表2:日本の主力大型銘柄群「高配当利回り株ランキング」
コード | 銘柄名 | 業種名 | 株価 | PBR | 予想 配当金 |
予想配当 利回り |
---|---|---|---|---|---|---|
7270 | SUBARU | 輸送用機器 | 2,029.00 | 0.91 | 146.09 | 7.2 |
7751 | キヤノン | 電気機器 | 2,125.00 | 0.86 | 152.52 | 7.2 |
8316 | 三井住友フィナンシャルグループ | 銀行業 | 2,661.50 | 0.32 | 189.72 | 7.1 |
6301 | 小松製作所 | 機械 | 1,584.50 | 0.83 | 108.19 | 6.8 |
8053 | 住友商事 | 卸売業 | 1,175.00 | 0.53 | 80.00 | 6.8 |
5020 | JXTGホールディングス | 石油・石炭製品 | 330.50 | 0.39 | 22.35 | 6.8 |
8002 | 丸紅 | 卸売業 | 537.50 | 0.52 | 36.21 | 6.7 |
8308 | りそなホールディングス | 銀行業 | 303.80 | 0.33 | 20.35 | 6.7 |
6178 | 日本郵政 | サービス業 | 773.70 | 0.23 | 50.52 | 6.5 |
4188 | 三菱ケミカルホールディングス | 化学 | 605.40 | 0.63 | 39.36 | 6.5 |
8306 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 銀行業 | 392.20 | 0.30 | 25.47 | 6.5 |
8411 | みずほフィナンシャルグループ | 銀行業 | 115.50 | 0.34 | 7.41 | 6.4 |
4502 | 武田薬品工業 | 医薬品 | 3,030.00 | 0.93 | 188.07 | 6.2 |
株価=円 PBR=倍 予想配当金=円 予想配当利回り=% *予想配当金(円)は1株当り(市場予想平均) 出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2020/3/18) |
今般の相場急落で「全面安」に巻き込まれた主力大型株のなかには、SUBARU、キャノン、三井住友フィナンシャルグループ、小松製作所、住友商事などがPBRで1倍(各企業の1株当り純資産=解散価値とされる)を大きく割り込むまで株価が下落。その経営実績や将来性を加味した評価を勘案すれば割安感が鮮明となっている銘柄が多いと考えられます。
将来の減配リスクを織り込んだ可能性も精査する必要はありますが、上記銘柄群が減配を続ける可能性は低く、会社が解散(経営破綻)に追い込まれる事態も考えにくい状況です。日本を含む先進国の金利低下が鮮明となるなか、こうした配当利回りが6%を超える主力大型株は、市場の落ち着きを待って見直される可能性が高いと考えています。