実のところ、どちらを選ぶかはけっこう悩ましい

 制度の違いを見てみましたが、どちらを選ぶかはけっこう難しいところです。しかし明らかにNISA口座を選んだほうがいい条件は2つあります。

 1つは「年間40万円以上投資をしたい」というニーズが明確にあることです。非課税投資の枠が3分の1にもなるのは積極的に拠出余力のある人にとってはもったいないことです。

 もうひとつは「現物株式での投資をしたい」というニーズが明確にあることです。こちらも投資の選択肢から除外されてしまうため、つみたてNISA口座ではニーズを満たせないことになります。

 その他、つみたてNISAの適格対象ではない投資信託を購入したい場合などもNISA口座優先ということになります。

 一方で、つみたてNISA口座を優先したほうがよいケースもあります。たとえば、「年間の投資拠出可能額は40万円以下」であって「投信やETFでの長期積立投資」を考えている場合などが該当します。

 毎月数万円程度の拠出枠を設定し、コツコツと積立投資を行い、20年くらいなら非課税運用を継続してもよいのだ、と思えるなら、つみたてNISAのほうがいいでしょう。

 とはいえ、「長期積立はしたいけれど、年40万円より枠はもう少し大きいといいな」というような人にとっては、今回の口座選択は悩ましいものとなります。ある人がNISAとつみたてNISAを隔年で選択し続ける、というアイデアを述べていましたが、私は口座管理を考えると非現実的だと思います(NISA5年目の翌年につみたてNISAを選択したら、ロールオーバーできないなど話はややこしくなるばかりでしょう)。