日本たばこ産業(JT)の予想配当利回りは7.4%
JTは、株主への利益配分に積極的な会社です。2019年12月期まで16期連続で増配(1株当たり配当金を増やすこと)してきました。自社株買いも積極的に実施しています。ところが、株式市場で、JTは不人気株です。国内で喫煙規制が強化される話が出るたびに売られ、株価は過去5年間下げ続けてきました。
4月1日には間接喫煙の防止を強化する目的から改正された「健康増進法」が全面施行となります。当面、上値の重い動きが続きそうです。
JTの株価と予想配当利回り推移:2018年1月4日~2020年3月11日
過去1年半の株価を見ても、上のチャートのように下げ続けています。JTは前期(2019年12月期)まで、16期連続で増配してきました。今期(2020年12月期)は1株当たり配当金を154円で据え置く予定なので、連続増配記録はストップしますが、高水準の配当が維持される予定です。
それでも株価は下げ続けているので、予想配当利回りは上がり続けています。3月11日には7.3%に達しています【注】。
【注】予想配当利回りの計算方法
JTが開示している1株当たり年間配当金(会社予想)を、株価で割ることによって、予想配当利回りを計算する。3月10日の予想配当利回り7.4%は、2020年12月期の1株当たり配当金(会社予想)154円を、同日の株価2,091.0円で割ることによって計算。1株当たりの配当金が変わらない間は、株価が下がると利回りが上がる。株価が上がると利回りは下がる。
JTの1株当たり配当金・1株当たり利益・連結配当性向の推移:2015年12月期(実績)-2020年12月期(会社予想)
JTの連結純利益は、2015年12月期に4,856億円と過去最高益に達しましたが、その後は減少が続き、今期(2020年12月期)の会社予想では、3,050億円となります。ただし、JTは財務優良で潤沢なキャッシュフローを有するので、利益が減っている間も、増配を続けてきました。1株当たり利益の何%を配当金に回しているかを示す、配当性向は、2020年12月期には89.6%まで上昇する見込みです。
配当性向が高すぎることは、一般的に将来の減配リスクとして意識されるところです。確かに、これ以上、利益が減ると減配もあり得ます。ただし、財務優良で、国が大株主であることを勘案すると、JTは配当可能原資が続く限り、株主へ高水準の利益配分を続けると予想しています。