前日(9月22日)の市場概況

ドル/円:111円台へ下落。FOMC後の勢い続かず

 週末のドル/円は、FOMC(連邦公開市場委員会)後の円安の勢いが息切れし始めたところに地政学リスクが重なり、111円台へ下落しました。(チャート1)

 トランプ大統領は国連のスピーチで、「北朝鮮を完全に破壊する」と、軍事行動もありうることを警告しました。これに反発した北朝鮮は、太平洋での水爆実験を示唆。米国と北朝鮮の激しい言葉の応酬が、投資家のリスクセンチメントを弱め、ドル/円は、112.55円が高値となって、金曜日の東京時間に111.65円まで下落。その後は112円を挟んだレンジ取引が続き、終値は111.976円(前日比-0.511円)でした。

 

ユーロ:ドイツ選挙でメルケル首相は勝利も、週明けユーロは下げてオープン 

 週末行われたドイツ連邦議会選挙では、4期目を目指したメルケル首相率いるCDU(キリスト教民主)・CSU(社会同盟)が、順当に第1党を守りました。しかし、難民受け入れに反対する右翼政党AfD(ドイツのための選択肢)も一定の支持を得て、初めて国政の場で議席を確保。メルケル首相は勝ったとはいえ、今後の政権運営が難しくなるとの見方で、週明けのユーロ/ドルは、NY終値に比べて30ポイント以上ユーロ安水準の1.1912ドルでオープンしています。

ポンド:英国格下げ、ポンド急落 

 メイ英首相は22日、英国のEU(欧州連合)離脱方針について演説を行い、ブレグジット完了までに2年間の移行期間を設けることを提案しました。移行期間もEU単一市場へのアクセス維持を条件として、EUへの「拠出金」支払いを約束するなど、EU側に対して譲歩。とはいえ、EU側がすんなりと受け入れるとも思えず、今後の交渉は難航が予想されます。ムーディーズは、ブレグジットが英経済へ及ぼす悪影響を理由に、英国の格付けを「Aa1」から「Aa2」に一段階引き下げました。

ポンド/ドルは1.3595ドルを頭に1.3447ドルまで急落、この週の安値をつけました。(チャート3)

NZ選挙は与党が辛勝 

 週末行われたNZの総選挙で、与党の国民党は勝利したものの、単独過半数は獲得できずハングパーラメント(与党、野党のどちらも単独で過半数の議席を獲得していない状態)になることが確実となりました。ただ、週明けのNZドル相場には目立った影響はなく、NZドル/ドルは、週末終値の0.7335ドルからやや下げて0.7321ドルでオープン。NZドル/円も、週末終値の82.13円と同レベルの81.16円でオープンしています。(チャート4、5)

 
 

今日の注目指標!:ドイツIFO、ドラギ総裁発言 

 先週金曜日に発表されたユーロ圏のPMI(購買担当者指数)は、製造業、サービス業ともに予想を上回る強い結果でした。今日発表の9月IFO企業景況感指数も強い予想。欧州経済の見通しに明るさが増していることを示しているわけで、ユーロ圏の第3四半期の成長率が上振れする期待もでてきました。この日はドラギ総裁のスピーチも予定されています。強い欧州の指標は、ECB(欧州中央銀行)にとって量的緩和終了を進めやすくなるでしょう。

 また明日は、NZの8月貿易収支の発表があります。