長期投資からトレンドフォロー戦略に
ここからは、ご自身の投資スタイルがバイ・アンド・ホールドの長期投資ではない、もしくはこれを機に長期投資を止めたい、という方に向けてお話しします。
例えば筆者のように、トレンドフォロー戦略を取っている投資家であれば、株価が大きく下がった2月末時点で、保有株はほぼゼロになっています。
なぜなら、筆者の場合、「25日移動平均線を割り込んだ保有株は売却する」というルールを決めているからです。2月末時点で、25日移動平均線を割り込んでいない銘柄はほとんどないので、保有株もわずかです。
だから、25日移動平均線を大きく割り込んでいる銘柄ばかりの今でも、損失の拡大を防ぐことができていますし、これ以上株価がいくら下落しても、損失を被ることがないのです。
これを逆に下落の途中で中途半端な逆張りで買い向かってしまえば、今は含み損を抱えてしまう結果となっているでしょう。
逆張りで成功している個人投資家もいますから一概に逆張りがダメとは言いませんが、逆張りで含み損を抱えた塩漬け株ばかり作ってしまっている…という方は、順張り(トレンドフォロー)に切り替えてみてはいかがでしょうか。
一にも二にも「ルール作り」
株価がここまで急激に下落してしまうと、多くの個人投資家から次のような質問が出てきます。
「株価下落はいつまで続くの?」
「持っている株は売るべき? それとも持ち続けるべき?」
「これから日本株や世界の株はどうなる?」
こうした質問に対して、丁寧に回答している専門家もいますが、私であれば次のように答えます。
「分かりません」と。
そもそも、これが自分で分かる、もしくは分かる人のアドバイスを受けられているのであれば、大きな損失などしないはずです。
しかし、専門家・評論家の方も、株価がここまで短期間に急落するなど事前に予想できていませんでした。これは、専門家・評論家の方が無能なのではなく、そもそも「予想などできない」のです。
株式投資で重要なのは、「これからどうなるか?」を予想するのではなく、これからどうなっても生き残るためのルールを作り、それを守ることなのです。
残念ながら、多くの個人投資家は、株価下落の度に上記の質問を繰り返し、そして多額の損失を積み重ねていきます。
でも、「どうなったら株を買うのか? 売るのか?」という明確なルールを設定してそれを守れば、このような質問など一切する必要がなくなります。
現に、筆者が今回の株価急落を少しのダメージ(実際は空売りやプットオプション買いの利益があるのでプラス)で切り抜けているのは、決して株価急落を予想できたからではありません。
ルールに従って、25日移動平均線を割り込んだ保有株を淡々と売却していっただけです。
筆者が主宰している株式投資塾では、筆者の投資手法やルールを実践した塾生さんから「今までの自分なら大損していましたが、今回は明確な売買のルールがあったので少しの損で乗り越えられました!」という感謝の声を数多くいただきました。
結局重要なのは、株価下落を見抜く能力ではなく、株価が下げ始めたらどう動くかというルールなのです。