新型コロナ流行に震える市場に不安の連鎖
新型コロナウイルスの感染拡大不安で世界株式市場は大荒れとなりました。特に米国市場は、感染拡大による景気押し下げリスクを警戒。主要株価指数は大幅続落し、「恐怖指数」(VIX)は2019年初来の高水準である27ポイントに上昇しました(図表1)。
海外投資家のリスク回避姿勢が強まり、先物売り主導で日経平均も急落しました。新型コロナは、中国と地理的に近い日本、韓国などアジアに加え、欧州のイタリアや中東イランなどで感染拡大が報じられ、世界の感染者数は8万2,000人を突破。米国のCDC(疾病対策センター)は「米国でもいずれ新型ウイルスの継続的感染が起きることになる」と警戒(25日)。
FDA(米国食品医薬品局)当局者も「パンデミック(世界的な大流行)に発展する可能性を警戒する必要がある」と述べました(26日)。
WHO(世界保健機関)はいまだ「パンデミック」と判断していませんが、気の早い市場は「パンデミック・リセッション」(感染拡大による景気後退)を織り込みはじめた印象です。ただ、ダウ平均も日経平均もすでに200日移動平均線割れまで下落し、値幅調整には一巡感もみられます。
米国市場ではリスク回避の債券買いで10年債と30年債の利回りが過去最低に低下。目先は神経質な展開が続きそうですが、「利回り面で債券と比較した株式の割安感」が早晩見直される可能性に注目したいと思います(詳細は後述)。
図表1:新型コロナの感染拡大で米国市場の「恐怖指数」が上昇