銘柄を増やすときの選抜法
吉井 投資信託には複数の銘柄が組み入れられていますが、組み入れるときに配慮していることはありますか。
酒井 引き算です。自分の思いをポートフォリオに詰め込みすぎないということ。例えば、マーケットがいいときに活躍してくれる銘柄、悪いときに活躍してくれる銘柄、原油価格が高いときに活躍してくれる銘柄、安いときに活躍してくれる銘柄というように、いろいろな局面で活躍してくれる銘柄を、自分の思いからは切り離して組み入れておくことが大切ですね。
木村 短期的な相場に左右されるなです。短期的な相場動向に左右されないことは、ファンドマネジャーとして最も大事なことです。
株式市場は移り気で、短期的にコロコロ変わります。目先の利益を欲しがる人は、目先の相場動向に合わせて運用してしまうため、運用スタイル、運用方針もコロコロ変わる。
こんな後追いの運用は必ず失敗します。「配当フォーカスオープン」では運用方針をしっかり持って、どんな状況でもぶれずに方針を貫く。それを徹底してやっています。
奥野 構造です。その会社がなければ世界が成り立たないような会社は、相場が下落しても強い。ある産業の市場シェアを3割以上持つような強い会社があるとします。その会社の株価は私たちのパフォーマンスの統計では、相場が100下がるときは60~70くらいしか下がりません。
一方、相場が100上がるときは90~95くらい上がります。長期的な結果として相場、インデックスを上回ります。このようなパフォーマンスの特性の要因は、その産業における企業の優勝劣敗にあると考えています。
つまり、事業環境、景気が悪化すると市場シェアの低い弱い会社がその産業から退場し、景気が戻ったときに強い会社は、退場した会社のシェアの分も取り込んで、より高い市場シェアを実現し、その結果としてより高い利益を上げることができるようになります。世界経済の成長率鈍化に伴って、この優勝劣敗の傾向はより強くなるので、今後はますます企業選択の妙が大事になると思っています。