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調理済みの食品を持ち帰って食べる『中食』(なかしょく)は共働き世帯の増加などで市場が拡大してきましたが、昨年10月の消費税引き上げ以降、伸びが加速しています。宅配も含め税率が8%に据え置かれたことが背景です。外食企業などは、店での食事が10%に上がったため持ち帰り専門の店や商品を強化、弁当店やそう菜店は宅配サービスの利用に乗り出し、拡大する需要の取り込みを図っています。
【ポイント1】消費税引き上げは『中食』の追い風
『中食』とはレストラン等へ出かけて食事をする外食と、家庭内で手作り料理を食べる「内食」の中間にあって、調理済みの市販の弁当やそう菜などを家庭や職場等へ持ちかえって食べる食品を言います。
人口減少が進むなか内食や外食が伸び悩む一方、『中食』は共働き世帯の増加などで市場が拡大してきました。10月の消費増税後も軽減税率が適用されたことで伸びが加速しています。調査会社エヌピーディー・ジャパンによると、2019年10月の外食業態の客数の成長率は、イートインが▲7.6%に対し、テイクアウト・出前は6.1%増でした。各社は『中食』強化を進めており競争が激化しています。
【ポイント2】関連企業は『中食』への取り組みを加速
ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」が主力のロイヤルホールディングスは、自社ブランドの冷凍食品「ロイヤルデリ」を立ち上げました。これまでもセントラルキッチンから、高級スーパーなどに冷凍食品を供給してきましたが、持ち帰り需要を取り込みます。2019年12月24日開店の二子玉川店では、「ロイヤルデリ」のパイロットショップとしてスープやパスタ、ハンバーグなど25品以上を取り扱っています。
持ち帰り弁当の「ほっともっと」を展開するプレナスは、2019年11月14日に約100店舗の宅配サービスについて2020年2月末までに500店を目指すと発表しました。配送代行サービス「出前館」や「ウーバーイーツ」と提携して始めた宅配の導入店舗を拡大します。
【今後の展開】『中食』の商品やサービス面での提供力が問われる
『中食』は、共働き世帯の増加など社会構造の変化に加えて、各業態が家庭内料理の代行として消費者ニーズに答えてきたことが市場拡大につながりました。また従来は主要顧客でなかった中高年にも購入層が広がり、欠くことのできない存在になっています。消費増税は追い風ですが、業界の枠を超えた競争は激しさを増すとみられます。各社はいかに消費者の購入意欲を刺激する商品やサービスを提供できるかが問われます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。