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干ばつや豪雨などの異常気象、森林火災など、地球温暖化の影響とみられる災害等の増加を背景に『気候変動』問題が取り上げられることが多くなりました。そのような中、1月に米大手資産運用会社が「『気候変動』リスクは投資リスクであると投資家は認識するようになった」として化石燃料関連会社への投資を控えることなどを表明しました。『気候変動』問題は資産運用においても不可避かつ身近な問題として捉える必要がありそうです。
【ポイント1】豪雨や森林火災の増加などから『気候変動』問題への関心高まる
『気候変動』は、主に地球温暖化によって気候システムが影響を受けて起こるとされる、干ばつや熱波、大雨などの異常気象や、海面上昇などの現象を指します。海面上昇では南太平洋の島国ツバルや、異常気象では2019年はフランスの熱波、日本の台風19号による浸水被害、オーストラリアの森林火災など多くの『気候変動』が報告されています。オーストラリアの森林火災は現在も続いており、被害の拡大が懸念されています。
昨年は、米国が『気候変動』対策として国連で採択された「パリ協定」から離脱すると正式通告し、先行きに暗雲が立ち込めました。しかしスウェーデンの環境活動家の少女が注目を集めるなど、同問題への関心は高まりました。昨年9月の国連気候サミットでは各国の取り組みが発表され、今年1月の世界経済フォーラム(ダボス会議)では特に緊急性・重要性が高い領域として『気候変動』問題が取り上げられています。
【ポイント2】『気候変動』問題が経営・投資の指針に
1月、運用資産約800兆円の米最大手資産運用会社は投資先企業等への書簡で「『気候変動』が企業の長期的な見通しの決定的な要因になってきている」と述べ、「『気候変動』リスクは投資リスクであると投資家が認識するようになった」として、石炭関連会社や化石燃料関連会社への投資を控えることを表明しました。
また、同社は『気候変動』をはじめESG(環境・社会・企業統治)を軸とした運用を強化し、投資先が『気候変動』リスクの情報開示を怠った場合、その企業の決定に株主として反対票を投じることを強調しました。
【今後の展開】『気候変動』問題など環境や社会を意識したESG投資が拡大
およそ160兆円の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)でも環境や社会を考慮したESG投資を拡大しており、環境分野への配慮に優れた「グリーンボンド(環境債)」への投資を来年度にも本格的に始める方針を打ち出しました。世界的にESG投資に向かう資金は今後も拡大していくと考えられます。『気候変動』問題と資産運用、これまではあまり関係性が意識されませんでしたが、状況は大きく変化していると言えそうです。