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 政府はマイナンバーカードを活用した買い物用ポイント『マイナポイント』の概要を固め、2020年度予算案に関連予算を計上しました。『マイナポイント』制度は東京オリンピック後を見据えた景気対策として導入される予定ですが、普及が遅れているマイナンバーカード利用促進のカンフル剤としての役割が期待されます。また、ポイント還元で拡大しているキャッシュレス決済の促進の役割としても期待されます。

【ポイント1】政府は『マイナポイント』制度の導入へ

 政府はマイナンバーカードと専用IDの保有者のキャッシュレス決済に対して、『マイナポイント』を付与する新制度を導入すべく、2020年度予算案で2,478億円の関連予算を設定しました。

『マイナポイント』制度を利用するためには、自治体窓口でマイナンバーカードを取得し、ポイントを管理するマイキーIDを設定する必要があります。その上で利用者は複数あるキャッシュレス決済手段の中から一つを選択します。新制度は2020年9月から2021年3月まで実施され、最大2万円の購入に対して、5,000円分のポイントが付与される方針です。

【ポイント2】景気対策に加え、マイナンバーカード普及促進も期待

『マイナポイント』制度は東京オリンピック後の消費落ち込み懸念に対する景気対策と、2020年6月に終了するキャッシュレス決済のポイント還元事業の後継として出てきた案ですが、遅れているマイナンバーカードの普及促進も期待されます。

 マイナンバーカードは交付開始から約3年半たちますが、2019年7月時点での普及率は14%程度にとどまります。政府は『マイナポイント』をカンフル剤として、2020年7月末に普及率を24~31%に高め、2021年3月末に約半数となる47~55%に、2023年3月末にほとんどの住民のカード保有を目指しています。併せて、2021年に健康保険証として、2023年に介護保険証として利用できる制度をスタートさせる予定です。

【今後の展開】問題も残るが、三方よしの事業となりそう

 マイナンバーカードは発行に時間がかかることから、当初は混乱も予想されそうです。また、『マイナポイント』制度は検討中の部分も多く、「キャッシュレス決済手段がない人への対応」など対処すべき問題も残っています。しかし、今後マイナンバーカードの利用促進とキャッシュレス決済の拡大が避けて通れない中、「買い手(消費者)、売り手(事業者)、社会のために貢献する」まさに三方よしの事業となりそうです。