<今日のキーワード>

 オフィスビル仲介大手の三鬼商事は、オフィスビルの『空室率』や平均賃料を毎月公表しています。2019年12月の東京ビジネス地区の『空室率』は1.55%と4カ月連続で低下し、月次データが公表された2002年1月以降での最低を更新しました。2020年に竣工される東京ビジネス地区の新規ビル供給量は多いものの、新築ビルの多くで半分以上の入居テナントが決まっており、需給がひっ迫した状況に変化はなさそうです。

【ポイント1】12月の東京のオフィスビル『空室率』は過去最低を更新

新築ビルが小幅に低下 

 三鬼商事が1月9日に発表した東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の2019年12月のオフィスビル『空室率』は、前月比▲0.01ポイントの1.55%となりました。低下は4カ月連続で、月次のデータが公表された2002年1月以降での最低を更新しました。

 内訳をみると、新築ビル1棟が満室で竣工したことから、12月の新築ビルの『空室率』は、同▲0.04ポイント低下して4.82%となりました。既存ビルは、成約や解約の動きが少なかったため、横ばいの1.49%でした。

【ポイント2】平均賃料は長期的な上昇続く

前年同月比は+6.3%

 2019年12月の東京ビジネス地区の平均賃料は、前月比+0.63%(+140円)の坪当たり2万2,206円でした。平均賃料は、2014年1月以降、72カ月連続の長期にわたり上昇が続いています。前年同月比は+6.31%(+1,319円)でした。

 平均賃料の内訳をみると、新築ビルは前月比横ばいの2万8,870円、既存ビルが同+0.62%(+136円)の2万2,021円でした。

【今後の展開】好調なオフィスビル市況や低金利を背景にJ‐REITは堅調

 三鬼商事によれば、2020年の東京ビジネス地区の新規ビル供給量は30棟、536,931坪の竣工が予定されています。2020年は大規模ビルの竣工が多く、大量供給で話題となった2003年に次ぐ供給量となります。しかし、新築ビルの約7割が募集面積の半分以上で決定や内定が進んでおり、需給がひっ迫した状況に変化はなさそうです。

 オフィスビルの『空室率』低下に伴う賃料上昇や、日銀の超緩和政策の長期化による低金利を背景に、安定した配当利回りが得られるJ-REIT市場には資金が流入してきました。総合的な値動きを示す東証REIT指数は、2019年に21%上昇しました。好調なオフィスビル市況、長期化する超金融緩和政策に伴う低金利を支えに、2020年もJ-REIT市場は引き続き堅調な展開が期待されます。