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高齢ドライバーによるブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故が相次ぎ、安全対策強化が課題となっていました。こうしたなか、政府は『自動ブレーキ』など安全装置の普及加速を後押しするため、国内で販売される新型車に2021年11月から『自動ブレーキ』の搭載を義務付ける一方、安全装置搭載に対して助成する方向にあります。ビジネスチャンスの拡大を受けて企業もこれら製品への取り組みを強化しています。
【ポイント1】政府は『自動ブレーキ』など安全装置の普及を後押し
政府は『自動ブレーキ』など安全装置の普及を規制強化や助成などを通じて加速させる方針です。赤羽国土交通相は2019年12月17日、国産の新型乗用車を対象に、2021年11月から『自動ブレーキ』の搭載を段階的に義務付けると発表しました。既存の車種やモデルは2025年12月以降に販売する車に適用します。2020年1月に関連制度を改正する方針です。
政府は『自動ブレーキ』やブレーキとアクセルを踏み間違えた時に急発進を防ぐ安全装置に対して、65歳以上の高齢者を対象に原則として新車1台あたり10万円、軽自動車は7万円をめどに助成する方向です。また東京都や兵庫県などは購入費用の補助を決定済みです。これらを受けて、企業も取り組みを強化しています。
【ポイント2】企業も取り組みを強化
カメラやレーダーを駆使して、『自動ブレーキ』を瞬時にかける「衝突被害軽減ブレーキ」は、トヨタ自動車の「トヨタセーフティセンス」やSUBARUの「アイサイト」など一部車種に限定されていましたが、各社は搭載を拡大しており、2018年の新車の8割以上に搭載されています。
後付け安全装置では、すでに販売しているトヨタ自動車とダイハツ工業を除き、スズキを含む6社は2020年夏以降の商品化を目指します。カー用品のオートバックスセブンは後付け安全装置を2016年12月から販売していますが、2019年4月以降、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が大きく報道され、販売が急拡大しています。
【今後の展開】既販車や海外での普及が期待される
今回政府が先行して義務付けたのは新車ですが、国内で約6,000万台ある既販車での対策が進まないと効果は限られたものとなります。そのため対策が追加され、既販車で搭載が進めば非常に大きな市場が生まれます。また、ECE(国連欧州経済委員会)は2019年2月に、日本やEU(欧州連合)など40カ国・地域が『自動ブレーキ』の導入を義務付ける規則の原案に合意しており、各国でも搭載機運が高まっています。このため企業は技術開発で先行すれば大きなビジネスチャンスとなる可能性があり、各企業の取り組みが注目されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。