今回のテーマは信用取引の決済方法についてです。

 信用取引での決済は「返済」が圧倒的に多いです。買い建てであれば売り返済となり、借りた資金を返すために建玉を売却します。また、売り建てであれば買い返済となり、株券を返すために売り建玉の資金を使って株券を買い戻します。言葉の通り、建玉を手仕舞って資金や株券を返済するわけです。返済をして余った分が利益、足りない分は自腹を切ることになり、損失となります。

 この他にも、信用取引の手仕舞いには、「現引(げんびき)」や「現渡(げんわたし)」という方法があります。「現」とは現物(株)のことです。ですので、現物株を引き取ったり、渡したりする方法をイメージすることができますが、まさにその通りです。

 現引とは、買い建玉分の代金を支払い、現物株として保有し直すことです。とは言っても、返済でなく、わざわざ買い建玉を現物株化するメリットはあるのでしょうか?

 例えば、もともと現物株で長期的に保有するつもりだったが、買いたいと思ったタイミングに資金が足りず、とりあえず信用取引で買い建てをし、資金が調達できた段階で現引するというのは意味がありそうです。

 また、短期の取引期間を想定していたが、中長期のトレンドが続きそうと判断し、現引するケースも考えられます。現物株として保有することで、信用取引に比べて資金効率は落ちますが、金利などのコスト負担が軽くなりますし、返済期限も気にすることがなくなります。ただし、こちらは株価の見通しに自信が持てないとなかなか踏み切れません。