2020年に入り初回のコラムです。本年も個人投資家の方に役立つ実践的な知識・情報の提供に努めてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
今年はどんな1年になるでしょうか。年頭に当たり、最近じわじわとブームになっている長期分散投資のメリットと注意点を改めて考えてみたいと思います。
つみたてNISAやiDeCoで一気に広まった長期分散投資
一昔前は、株式投資で長期分散投資をするという方は少数派でしたが、最近では、つみたてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の広がりとともに増えています。
つみたてNISAやiDeCoは、その仕組み上、長期分散投資を前提とした制度です。
ただ、ファイナンシャルプランナーや税理士の多くは、節税メリットだけを強調したり、長期分散投資をすれば必ず資産を増やすことができる、と誤認させるような説明をしており、筆者としては強い懸念を抱いています。
筆者は長期分散投資が最も優れた方法とは思っていません。個別株に投資した方が大きな利益を得られる可能性がありますし、マーケットが大きく値下がりするような時は、わざわざリスクを抱えて株を持ち続けざるを得ない長期分散投資ではなく、値下がりの初期段階で売り、反発の初期段階で買い戻した方がはるかに安全と考えているからです。
とはいえ、長期分散投資を否定しているわけではなく、個別株投資でうまくいかない個人投資家にとっては「次善の策」であることは間違いありません。
そこで今回は、長期分散投資と個別株への投資を比較しつつ、どのように長期分散投資をすればよいかを考えていきます。
長期分散投資の大きなメリット
長期分散投資のメリットとして挙げられるのは大きく2つあります。
1つ目は、資産運用にかける時間や手間が圧倒的に少ないという点です。インデックス・ファンドなどに投資したら基本はそのまま保有を続けるだけですので、個別株を選んでタイミングを計って投資するよりはるかに楽です。
2つ目は、結果として長期分散投資をした方が高いパフォーマンスを上げられる可能性が結構高いという点です。
ある調査によれば、一定期間株を持ち続ける方法と、タイミングを見計らって売買する方法を比較したところ、前者のパフォーマンスが極めて高かった、という結果が出ています。
つまり、タイミングを見計らって、上がりそうな株を選んで売買するよりも、株を一度買ったら保有し続ける方がうまくいく可能性が高いのです。