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 コンビニエンスストア(コンビニ)は1980年代以降、出店を加速して全国に広がりました。『24時間営業』による利便性と効率的な店舗運営が大量出店を支えました。ところが1店舗の1日あたりの売上高の伸び悩みと人件費の上昇などを背景に、今年に入りコンビニの代名詞でもあった『24時間営業』の見直しなど時短営業の取り組みが本格化してきました。現状での各社の対応には温度差があり、今後の動向が注目されます。

【ポイント1】大量出店を支えてきた『24時間営業』が重荷に

 コンビニの『24時間営業』は消費者の利便性が高いだけでなく、店側も販売機会の損失を防げるメリットがありました。また『24時間営業』は深夜に商品の陳列や清掃の作業ができる効率的な店舗運営と、商品の製造や配送の最適化にもつながり、大量出店を支えてきました。

 ところが2010年代に入ると1店舗の1日あたりの売上高は伸び悩みが続く一方で、この間の最低賃金は約2割上昇しました。『24時間営業』の内、深夜帯は客数や売り上げが少なく、人件費を負担する加盟店には重荷となっていました。こうした状況を受けて各社の時短の取り組みが本格化してきました。

【ポイント2】ファミリーマートは時短営業を原則容認

 ファミリーマートは11月14日、2020年3月にフランチャイズチェーン(FC)契約を改定し、加盟店の時短営業を原則容認すると発表しました。同社が6月に実施した加盟店アンケートで、約半数の店舗が時短営業を検討したいとの声に応えました。

『24時間営業』の見直しに慎重であったセブンイレブンも4月から時短の影響の検証を行い、「深夜休業ガイドライン」を策定し、11月から本部の合意が必要という条件付きで時短容認に転じました。深夜休業をするかどうかは最終的に加盟店オーナーの判断に委ねますが、FC本部と加盟店の協議が必要で本部の合意なしでは認められません。ロ-ソンは加盟店と協議の上、覚書を交わせば時短営業を認めています。

【今後の展開】『24時間営業』などの見直しは不可避

 コンビニは社会インフラとして定着しており、特に災害時には食品や日用品の供給拠点、人口減の地域では減少する中小店舗の代替としての役割も担っており、コンビニの業務運営として定着している『24時間営業』の見直しは簡単には進められない面があります。ただし店舗販売の伸び悩みや、働き方改革の影響と人口減少に伴う人手不足の問題は構造的な問題です。コンビニも全店での『24時間営業』継続の見直しは不可避で、対応の巧拙が今後の業績を左右する要因の一つとなるとみられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。