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 動画を軸とした日本の『携帯大手』と海外の情報技術(IT)大手との提携の動きが加速してきました。この背景には2020年春に次世代通信規格「5G」の商用サービスが始まることがあります。また10月から携帯販売のルールが変わり、端末の安売りによる販促が難しくなり、競争の基軸がサービスを組み合わせた付加価値に移行していくとみられることもあります。『携帯大手』の今後の取り組みが注目されます。

【ポイント1】提携加速は5Gの開始や新料金プランへの移行が要因

 動画を軸とした日本の『携帯大手』と海外のIT大手との提携が加速してきました。この背景として国内で2020年春に次世代通信規格「5G」の商用サービスが始まり、高速大容量を活用したデータや高精細な8K映像などの大容量配信が可能になることがあります。

 また10月施行の「改正電気通信事業法」では、携帯販売で主流だった通信契約と端末購入をセットで販売する手法、いわゆる「セット割」に制約を課す新ルールが導入されました。これにより『携帯大手』は端末の安売りによる販促が難しくなり、サービスを組み合わせた新料金プランへの移行が必要となりました。

【ポイント2】『携帯大手』は提携を加速

 ドコモは11月25日、ウォルト・ディズニー・ジャパンと組んで提供する動画配信サービスで、料金を割り引くキャンペーンを始めると発表しました。26日には動画配信などで米アマゾン・ドット・コムの日本法人と提携すると発表しました。ドコモが6月に始めた新料金プランを契約しているユーザーにアマゾンの有料会員向けサービス「アマゾンプライム」の年会費4,900円を1年間無料にするキャンペーンを開始します。

 KDDIは通信料と米動画配信大手ネットフリックスの会費をセットにして割安にした料金プランを始めています。新プランはデータ容量が無制限で使い放題となり、データ容量を気にせず使いたい利用者の需要を取り込む狙いがあります。また米フェイスブックとは、「5G」のサービス開始をにらみ、日本国内向けのコンテンツ開発で提携します。

【今後の展開】サービス機能強化を巡って、提携は一段と加速の方向

『携帯大手』は携帯販売で端末価格の実質値引きや2年の継続利用を条件に基本料金を割安にするビジネスモデルから、サービスなど付加価値で差別化を図るモデルへの転換にかじを切っています。今後、「5G」の商用サービスが拡大していくに従い、『携帯大手』の付加価値の高いサービス機能を組み込む競争は本格化していくとみられ、『携帯大手』は海外IT企業との提携を一段と加速していくとみられます。

 ※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。