今年のドル/円は史上最も狭い値幅予想

 ドル/円は108円台前半まで調整売りとなりましたが、相場自体は108円台前半のチャートポイントできっちりサポートされたため、上げ下げの波形を作りながら、いまだ上昇トレンドの中に収まっているとの見方もあります。しかし、109円台半ばを抜け切らなければ、この上昇トレンドは崩れ、10月中旬からのレンジ相場が続くことになります。

 今年は残すところ1カ月半弱ですが、このままだと今年の安値圏である1ドル=104円台や、高値圏である112円台に顔合わせに行くチャンスはなさそうです。その場合、年間値幅は昨年よりも狭くなります。

 昨年2018年の年間値幅は10円未満であり、この10円未満の値幅は1973年に日本が変動相場制に移行してから最も狭い変動幅でした。今年はそれよりも狭い値幅になるということです。

 今年の相場は、米中の制裁関税合戦で、年後半は米中通商協議合意への期待と失望によって翻弄(ほんろう)されました。しかし、そのような重大イベントがあったにもかかわらず、昨年よりも変動幅が少なかった背景には、各国の金利と物価が低下傾向であったということがあるようです。相場変動の重要要因である金利と物価が、各国とも昨年よりも低い水準で推移したことが、相場変動の抑制要因になったようです。今年は米国が金融緩和に方針を変更しましたが、欧州も新興国も軒並み金融緩和に動いたため、米金融緩和は大きな変動要因にはなり得ませんでした。日本では金利こそ下がりましたが、金融政策は変えなかったため、昨年と比べ円高水準で動いています。

実は世界人口は減少し始めている

 このように、近年相場が大きく動かなくなってきましたが、その背景を分析している興味深い記事が新聞に掲載されていました。

 一つ目の記事は、人口減少が景気拡大を妨げているという内容です。

 米モルガン・スタンレーの資産運用子会社のストラテジストによると、日本や中国、ロシアなど世界各国で人口が減り始めており、これが景気拡大を妨げる要因になっていると分析。そのため、金融緩和も、財政出動による景気刺激策も、景気拡大には結びつかないと指摘しています。

 つまり、世界的に人口が減少しているため生産も消費も拡大せず、また、金融政策も財政政策も効果がなくなるため成長率も低い水準にとどまるという分析です。このような経済社会では金利も低下し、物価も低水準ということになります。従って、為替も大きく動く環境にはなりにくいということになります。短絡的に言えば、為替の値幅が狭くなるのは人口減少が要因の一つということになります。

 同ストラテジストは人口動態の変化を踏まえた成長率も試算しています。その試算によれば、景気が順調に拡大しているとされる成長率は、新興国で5%、中国のような先進国と新興国の中間の国で3~4%、日本やドイツ、米国などの先進国で1~2%になると分析しています。

 先進国の1~2%は、現在の実際の水準ですが、中国の成長率が3~4%というのは現在の6%からはかなり低い水準になります。もし、この水準に向かっていくのなら世界景気は今よりもさらに後退していくことになります。