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国内総生産(GDP)は、国内で一定期間にどれだけの財やサービスが生み出されたかを示し、経済活動の規模や動向を総合的に示す指標として用いられます。中でも、物価変動の影響を取り除いた『実質GDP』が注目されます。2019年7-9月期の日本の『実質GDP』成長率は、前期比年率+0.2%と4四半期連続のプラス成長となりました。
【ポイント1】7-9月期の『実質GDP』はわずかにプラス成長
消費増税前の駆け込み需要はマイルドに個人消費を押し上げ
2019年7-9月期の『実質GDP』成長率(速報値)は前期比年率+0.2%(前期比+0.1% )と、わずかにプラスとなりました。4四半期連続のプラス成長となりましたがほぼ横ばい成長でした。
8月、9月に消費増税前の駆け込み需要が広がり、2014年の増税前(前期比年率+3.9% )よりは弱いものの個人消費が押し上げられたことが主な要因です。加えて、人手不足感が根強い中で、民間設備投資の増加や雇用所得環境の改善など堅調な内需が景気を下支えしたと見られます。
【ポイント2】外需はマイナス寄与
輸出の復調には時間を要する
7-9月期の『実質GDP』成長率を需要項目別に見ると、個人消費が前期比+0.4%となり、成長を支えました。また設備投資は、同+0.9%と増加しました。
一方、外需については輸出が前期比▲0.7%と減少した一方で、輸入が増税前の駆け込みなどから同+0.2%と増加しました。『実質GDP』への寄与度は▲0.2%となり、GDPの下押し要因となりました。グローバルの製造業景況感には底入れの兆しが散見されますが、輸出の復調には時間がかかると見られます。
【今後の展開】10-12月期はマイナス予想も、来年の景気回復を期待
先行きについては、不透明な外部環境と消費増税が重石となり、景気はしばらく低迷すると見ています。弊社では、10-12月期の『実質GDP』成長率については、消費増税による個人消費の落ち込みと輸出の不振が重なり、マイナス成長は避けられないと予想します。ただし、落ち込みは、前回増税時(前期比年率▲7.3%)よりも駆け込み需要が弱かった分マイルドになることが見込まれます。
その後は政府の経済対策や復興工事の増加などが下支えとなり、2020年1-3月期には『実質GDP』はプラス成長に転じ、景気は緩やかに回復すると見込んでいます。