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電子商取引(EC)の普及によるインターネット通販の拡大を背景に、需要地の首都圏にすぐ商品を届けるため大消費地近郊の『物流施設』が不可欠となっています。このため『物流施設』に対する需要拡大が顕著になるとともに、首都圏の大型施設の空室率は極めて低水準まで低下しています。こうした状況下、企業側は物流や在庫管理の効率化を急いでおり、『物流施設』の需給ひっ迫を背景とした投資拡大が続きそうです。
【ポイント1】『物流施設』の空室率は2.7%と過去最低
『物流施設』に対する需要が拡大しています。不動産サービス大手のCBREによると、2019年4~6月の首都圏の『物流施設』の空室率は2.7%と過去最低となり、東京ベイエリア、外環道エリアの空室率は2015年以来の0.0%を記録しました。また、首都圏の2019年の『物流施設』の新規の供給面積は約200万平方メートルと2016年比7割弱増える見通しです。ただ、新規需要はそれ以上に増加、特に首都圏では需給がひっ迫しています。こうした状況を背景に関連企業は『物流施設』に対する投資を拡大しています。
【ポイント2】大和ハウスなど『物流施設』投資拡大
大和ハウスは『物流施設』を成長分野と位置付け、2023年春までに、総額5,000億円超を投じて国内の『物流施設』を整備し、インターネット通販向けの拠点などとして貸し出します。人工知能(AI)やロボットも活用します。首都圏を中心に35棟を計画し、9月初旬に千葉県流山市に延べ床面積が約32万平方メートルと、同社最大の『物流施設』を着工しました。同社の『物流施設』を含む部門売上高は2019年3月期に前年度比約20%増加し、初めて1兆円を超え、部門別で最も大きい賃貸住宅と並ぶ水準まで拡大しました。
住友商事はこれまで交通の便に優れた郊外に『物流施設』を置く「郊外型」の『物流施設』が中心でしたが、今後は消費地に近い場所に集中投資する方針です。600億円超を投じ、大阪市と神奈川県大和市の人口密集地域に「消費地近郊型」の大型『物流施設』を2カ所新設することを計画しています。
【今後の展開】『物流施設』リートは堅調続く
好調な『物流施設』需要を背景に、J-REIT市場でもタイプ別インデックスで『物流施設』は年初から30%を上回る上昇となり、オフィスや住宅などの他のインデックスの上昇率を大幅に上回っています。インターネット通販の増加で小口配送の宅配便が増え、即日配送の需要も高まるなか、『物流施設』ヘのニーズは更に強まるとみられ、『物流施設』リートの堅調な動きが続きそうです。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。