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日本政府観光局(JNTO)が発表した2019年9月の『訪日客』は、前年同月比5.2%増の227万3,000人となり、2カ月ぶりに増加に転じました。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の開催で欧米豪からの『訪日客』が増えたことや、中国やアジアからの『訪日客』も堅調だったことが、韓国の減少分を相殺しました。ラグビーW杯の続く10月も『訪日客』の増加とそれに伴う消費(インバウンド消費)の拡大が期待されます。
【ポイント1】9月の『訪日客』は2カ月ぶりに前年比プラス
ラグビーW杯の『訪日客』が増加
JNTOが10月16日発表した9月の『訪日客』(推計値)は、前年同月比11万3,000人増(5.2%増)の227万3,000人と2カ月ぶりにプラスに転じました。
9月は、ラグビーW杯の開催を受け、同大会出場国を含む欧米豪各国からの『訪日客』が前年同月比で7万7,000人増えました。また、中国が同16万6,000人増となったほか、アジアからの『訪日客』が堅調だったことや、昨年9月が台風や北海道地震の影響を受けて減少した月であったことの反動も増加の一因となりました。一方、日韓関係の悪化により、韓国からの『訪日客』は同27万9,000人減(58.1%減)と、引き続き大幅に減少しました。
JNTOによれば、ラグビーW杯全出場国からの『訪日客』は、同9万2,000人増(36.2%増)でした。
【ポイント2】7-9月期の旅行消費額は1.2兆円
欧米豪の旅行支出は高い傾向
観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、7-9月期の『訪日客』による旅行消費額は推計で前年同期比9.0%増の1兆2,000億円でした。買い物代、宿泊費、飲食代の順で多くなっています。
『訪日客』の1人当たり旅行支出は、前年同期比5.2%増の16万5,000円でした。国籍・地域別にみるとフランス(25万2,000円)、スペイン(22万7,000円)、オーストラリア(21万5,000円)の順で高くなっています。宿泊費は欧米豪で高い傾向にあり、平均宿泊数が多いことも影響していると考えられます。
【今後の展開】10月もラグビーW杯の『訪日客』増に期待
ラグビーW杯に関わるインバウンド消費は、出場国の欧米豪からの『訪日客』の増加に伴う、長期滞在と高消費単価により、比較的規模が大きいと考えられます。ラグビーW杯は開催期間が44日間と長く、長期滞在となるファンが、応援するチームの次の試合までの間に観光や食事、買い物を楽しむためです。
悲願の決勝トーナメント進出を果たした日本の快進撃はベスト8で幕を下ろしましたが、ラグビーW杯は大いに盛り上がっています。10月も熱いラグビーファンの『訪日客』増とインバウンド消費拡大が期待されます。