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『代替肉』の開発が進んでいます。背景には人口増による食糧不足や食品ロス、地球温暖化等による食糧危機といった社会的課題や、菜食主義、栄養不足といった健康問題などがあげられます。これらの問題への取り組みは国連で採択された“持続可能な開発目標(SDGs)”にも通じます。日本では最近、植物工場産レタスをよく見ますが、欧米では植物由来の『代替肉』が注目されており、今後、日本でも需要拡大が見込まれます。

【ポイント1】植物由来の『代替肉』とは

食品ロスの問題や健康問題などに向けて開発

 現在の『代替肉』は主に、大豆など植物由来の『代替肉』と、動物の細胞を培養する「培養肉」があります。「培養肉」については米国で監督当局が規制を整備している段階です。一方、植物由来の『代替肉』は既に販売されており、ハンバーガーやフライドチキン、ソーセージなどに利用され、米大手ファストフードでは『代替肉』を使ったメニューを開発しています。一部では10年後にその市場規模は世界で10兆円を超えると期待されています。

 欧米では動物愛護や宗教などから菜食主義が広がっいることや、環境問題への意識が高く環境への負荷が高い畜産物を消費しない人もいることから『代替肉』の需要は高いと言えます。日本でも健康志向の高まりや、共働きの増加等を背景に拡大する「中食」に向けた新たな製品として、需要の拡大が期待されます。

【ポイント2】食糧不足、栄養不足など社会的課題や健康問題に対応

 国連によれば世界の人口は2050年までにほぼ100億人に達する見込みで、世界的な食糧・栄養不足が懸念されています。

 また、中間所得層の増加によって食肉需要が高まり、従来の畜産では供給が追いつかない懸念があります。畜産には大量の水や飼料等が必要なため、環境への負荷が高い点も懸念されています。

 植物由来の『代替肉』は、主に大豆などの植物に熱や圧力を加えて作るため、従来の畜産物の問題点を解決し、環境保護などへの懸念にも対応することができます。

【今後の展開】“持続可能な開発目標(SDGs)”は『代替肉』に追い風

日本ではコンビニ向けやインバウンド需要に期待

 2015年の国連サミットで採択された“持続可能な開発目標(SDGs)”の広がりによって、飢餓をなくす、海洋資源の保全、陸上資源の保全、など17の目標に多くの国や企業が取り組んでいます。これらはフードテックや『代替肉』の開発・需要拡大の追い風になると言えます。

 日本では、食品が大量に消費されるコンビニ向けや、来年の東京オリンピック・パラリンピックなどにかかるインバウンド需要の拡大に向けて、多様化する「食」の価値観に対応できる、これまでにない製品として『代替肉』の需要拡大が見込まれ、関連企業の取り組みが注目されます。