<今日のキーワード>
大きなスーパーやホームセンターの駐車場などで「わ」ナンバーの車をよく見かけるようになりました。レンタカーではなく『カーシェアリング』の車が増えているものと見られます。『カーシェアリング』は、主にエネルギー対策や環境意識の高いスイス、ドイツなど、ヨーロッパで先行して普及してきました。日本は『カーシェアリング』の普及については後発ですが、2010年頃から急速に拡大し始めており、今後の動きが注目されます。
【ポイント1】『カーシェアリング』会員数は8年間で1.6万人から132万人へ
日本では近年、自動車の保有意識に大きな変化が見られます。自動車の保有台数の増加幅は縮小傾向にあり、その背景として首都圏や大きな都市の駐車場価格の高さや若者の車離れなどが挙げられています。一方で、運転免許人口は依然として高水準にあることから、自動車の利用については相応の需要があるものと見られます。
そのような中で手軽に借りて好きな時間だけ利用する『カーシェアリング』が急拡大しています。日本の『カーシェアリング』の会員数※は、2010年の1.6万人から2018年には132万人、車両台数は同1,300台から同29,000台へ急速に拡大しています。
※出典:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」
【ポイント2】首都圏での時間利用などで大きな経済効果
『カーシェアリング』大手のある企業では、月額料金880円、時間料金が220円/15分となっており、雨の日の送迎だけ使用したいなど使用頻度にも合わせられます。他社では月額料金のいらないものもあり、様々なサービスが提供されています。
ローンや駐車場代、ガソリン代、税金・保険等、自動車保有にかかる費用は年間で20万円超(全国平均)と見られ、維持管理の手間暇や時間も考えれば、使い方次第で 『カーシェアリング』には大きな経済効果があります。
【今後の展開】自動車大手も参入、認知度や利便性向上で一層の拡大を期待
駐車場価格が安い地方や、必ずしも好きな車に乗れるわけではないことから、車の楽しみを追求したい人にはあまりメリットが感じられないかもしれません。一方で、地方の高齢者が病院の送迎や買い物などに利用する「コミュニティ・カーシェアリング」など、独自のサービスへの利用も進んでいます。
エネルギー対策や「モノ」の所有から利用へとシェアリングエコノミーが進展する中で、トヨタ自動車などの大手自動車会社でもカーシェア事業を進めています。今後、その経済性から『カーシェアリング』の認知度や利便性が高まることによって、『カーシェアリング』が一層拡大することが期待されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。