8月の通信サービス収入、値下げ競争緩和で2月以来のプラス成長

 中国の工業情報化部(MIIT)の月次報告書によれば、8月にはモバイルデータサービスの値下げ競争の緩和を背景に、通信サービス収入全体がプラス成長に転じた。BOCIは穏やかな競争環境が続く中、19年下期には5G向け投資を控えた通信キャリア各社がコスト削減と利益確保に照準を合わせるとの見方。通信サービスセクターに対する強気のレーティングを据え置き、キャリア3社、チャイナ・モバイル(00941)、チャイナ・テレコム(00728)、チャイナ・ユニコム(00762)の株価の先行きに対し、いずれも強気見通しを継続している。

 MIITによると、中国の通信サービス収入は8月に前年同月比1.2%増。3月以来5カ月連続の減少局面にようやく終止符を打った。BOCIによれば、キャリア各社が低価格の月額パッケージを取りやめ、より高額な大容量データプランを売り出したことを受け、モバイルデータサービス価格の弾力性が高まったことが寄与した。ギガバイト(GB)当たりの収入は8月に4.58元と、前年同月比で39%ダウンしたものの、前月比では6.3%増加。また、加入者1人当たりの月間データ利用量(DMU)は8.48GBと、前年同月を62%上回った。

 通信サービス収入の内訳を見ると、モバイルサービス収入は8月に前年同月比1.2%の小幅減となり、従来比で減少幅が縮小した。18年下期に国内のデータローミング料金が廃止された後、同収入は19年1月から減少傾向を続けていたが、ここに来て下げ止まりの兆しを見せた格好。BOCIによると、データ収入の回復(8月に同4%増)が、モバイルサービス収入を支える要因となった。

 一方、固定通信サービス収入は前年同月比6.5%増と、7月の5.7%増から加速傾向を示している。

 BOCIは通信セクターの潜在リスク要因として、5G設備投資および5Gのネットワーク配置に関する不透明感を指摘。これがキャリア各社の利益や長期のキャッシュフローに影響する可能性に言及した。その半面、5Gネットワークの配置やキャリア間のネットワーク共有計画が逆に、通信セクターの支援材料になり得るとしている。

 BOCIは通信キャリア3社の株価の先行きに対していずれも楽観的。5Gネットワークの共有計画を睨んだ3社の協力体制の下、穏やかな競争環境が続くと予想し、コスト削減が各社の最優先課題になるとみている。また、通信インフラ・設備関連銘柄では、中国通信服務(00552)および中国鉄塔(00788)の株価の先行きに対し、強気見通しを付与している。