2.伸びるスマホゲームを狙うアップルとアルファベット
スマホゲームを展開する代表的な企業といえば中国勢のテンセント(00700[香港株])やネットイース(NTES)ですが、最近はフェイスブック(FB)やネットフリックス(NFLX)といった非ゲーム発祥の巨大企業がこの分野を積極的に攻めようとしています。
特に注目したいのが、アップル(AAPL)とアルファベット(GOOGL)の動向です。アップルは2019年9月からサブスクリプション型のゲーム「アップル・アーケード」をスタートし、アルファベットも同じくサブスクリプション型の「スタディア」を同年11月から米国等で部分的にスタートする予定です。この大手2社のサービスは既存のゲーム市場に大きな刺激を与えるでしょう。
「アップル・アーケード」のターゲットは、ゲームを主にスマートフォンで楽しむライトユーザーとみられます。独自のゲーム約100タイトルを、「iPhone」等アップルのハードウェアから自由にプレイすることができ、利用料金は月額600円です。
ゲームの特徴は、基本的に追加課金が発生せず、広告表示もない点にあります。この2点があるために従来のゲームアプリから一定の距離を取っていた人々、特にファミリー層を取り込むチャンスを作りました。「アップル・アーケード」のファンが広がれば、アップルのハードウェアの売上げにもプラスの効果が期待できます。
「スタディア」のターゲットも、スマートフォンユーザーをターゲットにしていると考えられます。同サービスでは、同社のスマートフォン「ピクセル」や、ブラウザ「クローム」を搭載したPCから、月々9.99ドル(1ドル=107円換算で約1,070円)で高画質ゲームをプレイできる予定です。ただし、2019年11月時点では、映像配信用の端末「クロームキャスト」に対応したテレビ中心のサービスになる予定です。
特徴は、高画質のゲームが、インターネットのストリーミングを通じて手軽に遊べる点にあります。これまでは、専用のゲーム機を準備する必要があった本格的なゲームが、最終的には、PCやスマホ一つでプレイできるようになる見込みです。可能にしているのは、アルファベットのクラウド向けデータセンターです。ハイスペックなGPU(画像処理装置)を搭載したデータセンターが重いデータ処理を行うことで、ユーザーの端末には負荷がかかりにくい仕組みになっています。
なお、同社はゲーム動画などを展開する「ユーチューブ」も展開しているため、今後はその動画を活用して視聴者をプレイヤー側に変える施策にも期待が持てます。