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 端末の安売りが通信料金の高止まりにつながっているという批判などを受けて、10月に「改正電気通信事業法」が施行され、通信契約と端末購入のセット販売に制約を課す新ルールが導入されます。これによって、携帯各社は端末購入者に従来のような端末価格の実質値引きができなくなります。施行後の携帯大手3社の『携帯料金』への対応は分かれており、今後の動向が注目されます。

 

【ポイント1】『携帯料金』で「セット割」に新ルールが導入

 10月1日施行の「改正電気通信事業法」では、携帯販売でこれまで主流だった通信契約と端末購入をセットで販売する手法、いわゆる「セット割」に制約を課す新ルールが導入されます。途中解約の違約金の上限額を1,000円とし、縛りがないプランとの月額の料金差の上限も月170円とします。また通信とセットの場合、端末割引を最大2万円とするなど厳しい内容となります。

 これにより携帯大手は2000年代から普及した「2年縛り」がむずかしくなります。「2年縛り」とは2年の継続利用を条件に基本料金を割安にするものです。かわりに、更新月以外に解約した場合は9,500円の違約金がかかります。また縛りがないプランとの月額の料金にも大きな差がありました。

 

【ポイント2】施行後の『携帯料金』への対応は分かれる

 中途解約時の違約金への対応は3社で別れました。ソフトバンクは通信契約の2年縛りをなくし違約金もゼロ、ドコモとKDDIは違約金を9,500円から1,000円に引き下げ、2年縛りを残します。ただしドコモは、自社のクレジットカードで『携帯料金』を支払う利用者には違約金と2年縛りを廃止します。

 端末代金について、ソフトバンクとKDDIの両社は、端末を48回の分割払いで買った場合に「実質半額」とする端末販売単体プランを新たに用意しました。通信とセットの場合、端末割引を最大2万円とする新ルールが適用されますが、他社顧客も利用できるようにしてこれを回避しました。一方で、割賦購入から100日間は自社回線でしか端末を利用できない「SIMロック」はかかります。

 

【今後の展開】各社独自の『携帯料金』プランへ変化の方向

 総務省は9月20日、携帯電話端末を特定の会社の契約でしか使えないようにする「SIMロック」を、端末の販売時にすぐ解除するよう携帯大手に義務づける方針を表明しました。利用者の囲い込みにつながるため、通信料金の引き下げを促す新ルールにそぐわないと判断しました。これを受けて、両社は「SIMロック」については見直しをする可能性もあります。従来横並び傾向にあった『携帯料金』は楽天の参入もあり、今後各社が特徴のある新料金プランで顧客獲得を競う方向に次第に変わっていくとみられます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。