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世界では脱石炭の流れから再生可能エネルギーが拡大しています。世界全体で見ると、風力発電は太陽光を上回っています。これは陸上風力に加えて『洋上風力』が主流となってきたため設置場所が大量に増えたことによります。欧州に比べて遅れていた日本では『洋上風力』発電の開発を推進すべく「再エネ海域利用法」が成立・施行され、企業の参入が加速しており、今後の動向が注目されます。
【ポイント1】『洋上風力』拡大に向け「再エネ海域利用法」が成立
政府は発電量に占める風力の割合を引き上げる目標を掲げており、2018年11月には「再エネ海域利用法」が成立しました。『洋上風力』発電事業を行う「促進区域」を政府が指定し、事業者は公募によって選定され、事業者には最大30年間の占用が認められるという内容です。これを受けて事業化に向けた企業の参入が加速し始めています。
また国土交通、経済産業両省は2019年7月30日、『洋上風力』発電施設を優先整備する「促進区域」の初指定に向け、地元で受け入れ準備が進んでいる11海域を公表しました。このうち千葉県銚子市沖、秋田県能代市沖など4海域は地元合意が進む有望区域としました。
【ポイント2】国内企業の参入が相次ぐ
8月29日、東京電力ホールディングスは千葉県銚子沖で最大出力37万キロワットの『洋上風力』発電所の建設を計画していると発表しました。環境アセスメントを経て2022年度に着工し、24年度以降の運転開始を目指します。
清水建設は工事受注獲得のため、7月24日、約500億円を投じて波の影響を受けずに『洋上風力』設備を建設できる専用船「SEP船」を造ると発表しました。総トン数は2万8,000トンで世界最大級となる予定です。8月にも着工し、完成後は年間500億円の『洋上風力』関連の工事受注を目指します。同社以外では五洋建設は既に専用船を保有済みです。
【今後の展開】参入加速による『洋上風力』の拡大を期待
『洋上風力』には、風車を設置する基礎を海底に固定する着床式と、浮体構造物を利用して風車を海に浮かべる浮体式とがあります。日本は着床式の適地が少なく本格的な普及には浮体式に取り組む必要がありますが、同方式は建設コストの大きさや技術面などで課題が残ります。企業の参入が一段と進み、技術の補完や財務面のリスク分散などにより、『洋上風力』が拡大していくことが期待されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。