S&Pの配当利回りと10年債利回りの逆転が意味するもの

 またS&P500指数の配当利回りが10年物国債利回りを上回ったのは金融危機、ギリシャ危機、そして大統領選挙を控えた2016年後半の3回のみでしたが、今回再び配当利回り2%に対して10年物国債利回り1.5%と逆転現象が起こっています。そしてこのいずれのケースでも、その後株式は大幅に上昇したことを忘れてはなりません。

 とりわけ大手銀行にいたっては、6月末に発表されたストレステストでも明らかになったように、史上最も健全と言える財務状態にもかかわらず、配当利回りで約3%、自社株買いで約8%、合計11%近くの利回りが取れる状況です。もちろん短期的に株価が下落すればその利回りも減ってしまうのですが、例えばこのペースの自社株買いが10年続いたとしたら、8割方の株式は市場からなくなってしまうという異常なハイペースです。そして程度の差はあれ、米国株式が現在置かれているのはこのような状況だと言えます。

 市場は米中貿易問題の行方に振り回されていますから、今後もニュースによって株式相場は大きく上がる事も下がる事もあるでしょう。しかし短期的に株式の上下があったとしても、マイナス利回りの債券を買う投資家か、それとも「高利回り」の株式を買う投資家か、長期的にどちらに軍配が上がるか、時間の経過がどちらの味方をするかを考えればその結果は明らかだと思います。長期で考える限り、むしろニュースを見ない方が正しい投資判断が出来るのではないでしょうか。