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 26日の上海外国為替市場で、『人民元』の対米ドル相場が1ドル=7.1元台に下落し、約11年半ぶりの安値をつけました。23日に中国が米国への報復関税を発表したことを受けて、米政権が対中追加関税をさらに引き上げると表明したため、米中対立の激化による中国景気の下振れ懸念から元売り圧力が強まりました。8月5日に1ドル=7元の壁を突破して以降、『人民元』は下値余地を探る展開となっています。

 

【ポイント1】『人民元』は約11年半ぶりの安値水準

 週明け26日の中国本土市場の『人民元』は約11年半ぶりに1ドル=7.1元半ばに下落しました。米中対立の一段の激化を受けて、元売り圧力が強まりました。23日に中国が発表した対米報復関税に対し、米政権が第1~3弾の追加関税の税率を25%から30%へ、第4弾の税率を10%から15%へ引き上げると発表したことが背景です。

 トランプ米大統領が8月1日に対中追加関税の第4弾発動を表明したことを受けて、『人民元』は5日、1ドル=7元を超えて下落しました。米国は中国を為替操作国に指定し、5日以降、7元超えの水準が続いています。それまで市場では中国当局にとって1ドル=7元は防衛ラインという認識があったことから、中国が景気下支えのため元安を容認したとの見方が強まり、『人民元』は対米ドルで下値余地を探る展開となっています。

 

【ポイント2】中国は本格的な元安政策はとらない見込み

 一方、中国人民銀行は元安政策を採用しない方針を繰り返し主張しています。実際、『人民元』の対米ドル基準レートを市場実勢に近づけながらも、実勢よりやや元高水準に設定しています。米国が中国を為替操作国に指定したこともあり、中国は本格的な元安政策はとらないと思われます。

 中国当局は2015年8月に『人民元』の切り下げを行った「人民元ショック」の際、元急落を招いたことで資本流出ペースが加速し、マクロ経済の安定運営が難しくなった苦い経験をしているため、『人民元』の急落を警戒しているとみられます。

 

【今後の展開】中国当局は難しい舵取りへ

 中国人民銀行は27日、『人民元』取引の目安となる対米ドル基準レートを7.081元に設定しました。前日の市場の引け値7.15元程度に比べ元高水準とし、通貨防衛の意思を示しました。『人民元』の先安観が強まりすぎれば、中国の企業や個人が資本を海外に移す資本流出の動きが懸念されるため、急速な元安には歯止めをかけると考えられます。中国当局は景気下支えのため極めて緩やかな元安を容認しつつ、資本流出を招きかねない急速な元安は阻止するという難しい対応を迫られるとみられます。