19年中間決算レビュー、川上業務主体のメジャーが好決算を達成へ
8月23日のシノペック(00386)を皮切りに、中国石油メジャーの19年6月中間決算の発表がスタートする。BOCIは人民元建ての石油実勢販売価格が前年同期比ほぼ横ばいだったことなどを理由に、川上業務主体の石油メジャーが相対的に好決算を達成するとの見方。対照的に、石油精製、マーケティング、石油化学などの川下部門に関しては、製品の供給過剰感や業界景気の後退などが業績に響く見通しを示した。セクター全体の株価の先行きに対して強気見通しを継続し、個別では川上の有力銘柄、CNOOC(00883)およびペトロチャイナ(00857)を選好している。
北海ブレント原油の平均スポット価格は19年上期に1バレル=66.2米ドルと、前年同期比で7%下落した。ただ、中国産の中硫黄原油のベンチマークとなるドバイ・ファテ産原油のスポット価格は上期に同65.2米ドルと、わずか4%の下落に踏みとどまった。さらに、上期には人民元の対米ドル為替相場が前年同期比で平均6%下落しており、この点を加味すれば、中国石油メジャー各社の石油実勢販売価格は前年同期比でほぼ横ばいとなる。この点から、BOCIは石油価格の変動より、むしろ石油販売量の伸びやガス実勢価格の変化、コストの変動が川上企業の上期決算を左右するとの見方だ。
一方、BOCIは7月の段階で、石油精製セクターの設備稼働率の低下(18年の74.5%から19年に72.9%へ)を予測し、これに伴い、精製マージンに関する想定値を引き下げた。ブレント原油とファテ産原油の価格差(硫黄分含有量の少ないスイート原油と多いサワー原油との価格差を象徴する)が、18年上期の1バレル=3.27米ドルから、19年上期には0.94米ドルに縮小した点を指摘。中国の精製所の多くがサワー原油加工用に作られているとし、この価格差の縮小が中国の石油精製会社にとっては不利になり得るとしている。
石油精製業界にとっては、国内経済の減速に伴う石油製品(特にディーゼル油)需要の鈍化もマイナス材料。また、石油マーケティング事業に関しては、6月以降の価格競争が逆風となる。このほか、川下の石油化学事業においては、19年上期に主要化学品のスプレッド(利幅)の縮小が見られた。生産能力の拡大と需要減速を背景とした世界のエチレン業況の下降期入りが背景。
石油メジャー3社のうちシノペックについて、BOCIは19年中間期に前年同期比29%の減益(国際会計基準)を予想。CNOOCに関しては、主に特別損失の剥落を理由に前年同期比10%の増益を予測し、コアベースでは同10%の減益見通しを示した。ペトロチャイナに関しては上期に前年同期比2%の小幅増益(国際会計基準)を見込み、4-6月には前期比で68%の増益を達成するとの見方。メジャー3社の株価の先行きに対し、いずれも強気見通しを継続している。