香港発、地政学的リスク。天安門事件の再来は?
金利低下の根底には、将来の景気減速に対する懸念がある。これまでは循環的な景気の変動に加え、米中貿易摩擦がその原因とされてきたが、ここにきて香港情勢などの地政学的リスクが加わってきた。
香港ではここ2カ月ほど、中国への犯罪人引き渡しを制度化する逃亡犯条例の改正に反対する市民が大規模な抗議活動を続けている。12日にはデモ隊が香港国際空港に押し寄せて全便が欠航する異常事態となり、空港内での座り込み開始から5日目となった13日も600便が欠航した。
これに対して中国政府は強硬姿勢を貫き、市民の抗議活動に対して「テロの兆候がある」として一歩も譲る気配はない。中国共産党系の環球時報(英語版)は装甲車やトラックが高速道路を香港に向けて移動する映像を公開。トランプ大統領もツイッターに、「中国政府が軍を移動させている」と投稿している。
10月1日には、中華人民共和国の成立を祝う「国慶節」がある。今年は70周年にあたり、習近平国家主席にとって権威を内外に示す格好の場だ。中国指導部が国慶節の前の香港問題解決を目指すのは想像に難くない。
習国家主席が天安門事件の再来さながらに人民解放軍の投入に踏み切れば、株価の急落は避けられそうになく、株売り・債券買いがさらに加速する可能性がある。