トランプ大統領は“金価格上昇要因製造器”!?今後も上昇要因を量産、金価格上昇!?

 では、それらの材料はなぜ発生したのでしょうか? 元をたどれば、川上にはトランプ大統領が存在しています。

 もちろん、中国の景気減速懸念や欧州の政治的な不安は、トランプ氏の大統領就任前から存在している材料です。しかし、中国と欧州にある懸念や不安を“さらに強めた”という意味でトランプ大統領が影響していると考えられます。

 このように考えれば、間接的ではあるにせよトランプ大統領は金価格の上昇要因を量産している面があり、その意味ではトランプ大統領は“金価格上昇要因製造器”と言っても過言でないと、筆者は思います。

 現在、残りの任期が1年数カ月となったトランプ大統領が再選を目論む策を含めて、さまざまな施策を強めれば強めるほど、有事色が強まり、新興国の中央銀行は金の保有高を増やし、米国では利下げが続き、世界では通貨安戦争が続く、つまり、金相場が上昇しやすい状況が続くと考えられます。

 また、仮に米国の利下げで株価が思ったように上昇しなければ、代替資産の物色という点からも金高が進む可能性があります。

 円建て金についても、ドル安を主因にドル建て金が上昇した場合は、ドル安と同時に発生する円高で上値が抑えられることになりますが、ドル建て金の上昇がドル安を主因としない場合、例えばドル以外の複数の主要国の通貨が不安定になる、主要国の株価指数が下落する、想定外の有事が発生するなどによってドル建て金が上昇した場合は、さらに上値を追う事が予想されます。

 同時に円安方向にドル/円が進行した場合はなおの事、上昇しやすくなると考えらえます。

 いずれにせよ、今後もトランプ大統領が米国の大統領であり続ける限り、同氏が金相場の材料の頂点である状況には変わりはなく、2020年の大統領選挙に向けて同氏が施策を強めれば強める程、金相場は強くなると筆者は思います。

 前提に大きな変化がなければ、2019年の年末ごろまで、国内外の金相場は大きな変動を伴いながらも底値を切り上げる展開となり、NY金は1,600ドル程度、東京金は5,300円程度を目指す展開になっても不思議ではないと、現状では考えています。