米テック業界の景況感が堅調を取り戻している
S&P500情報技術(IT)指数は、最高値を更新して年初来+33.5%と好調で、ナスダック総合指数(同+25.4%)やS&P500指数(同+20.5%)をリードしています。そして上述のとおり、IT業界の先行き景況感を反映するとされるフィラデルフィア半導体株指数(通称SOX)も、年初来+40.4%と高値を更新しました(7月24日)。
図表2は、「テック・パルス指数(Tech Pulse Index)」とS&P500情報技術指数の推移を示したものです。テック・パルス指数は、全米ハイテク業界の活動状況を示す合成指数で、サンフランシスコ連邦準備銀行が、米国のIT産業の生産、出荷、投資、雇用などの指標を合成して米テック業界全体の業況感が把握できるように発表。「ハイテク業界版の景気動向指数」と注目されています。
2018年の秋から年末にかけての主力ハイテク関連株(FAANGやGAFA)の下落で、一時は「米IT株のバブルが弾けた」との見方も出ましたが、貿易摩擦懸念を乗り越える「デジタル革命の進展」が米テック株のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)要因であることを象徴しているかのようです。
2019年に入っては、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策姿勢転換で金利低下観測が高まり、(2018年は一時3.2%を超えた)長期金利が2.0%程度まで低下。IT関連株やナスダック銘柄を中心としたグロース株(成長期待が高く、比較的PER<株価収益率>も高い銘柄群)の株価回復を後押ししてきました。金利の低下は、「益利回り(PERの逆数)の縮小=許容PERの拡大」を介し、株価上昇要因となりやすい状況を示しています。